毎年100人を超える選手が戦力外通告を受けています。

他の球団からの直接オファーが最善の道と言えますが、この戦力外通告をきっかけに引退というプロ野球人生に幕を閉じることを決断する選手も多くいます。

直接オファーが無く、しかし現役続行を希望する選手が最後の望みをかけるのが12球団合同トライアウトです。

帰路に立たされた選手が野球人生をかけて臨むトライアウト。

今回は2018年に行われたトライアウトについて、ルールや参加選手の結果をまとめてみました。

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「トライアウト」ルールのおさらい！2018年の参加人数は？

トライアウトはシート打撃形式で行われます。

カウントは１ボール１ストライクからスタートし、投手は１人につき打者３人と勝負、野手は１人につき異なる投手と約４打席～６打席勝負していきます。

トライアウトのルールは？テスト内容や厳しい合格基準はどうなっている？【プロ野球】

 

2018年のトライアウトに参加した選手は全部で48名。

投手29名、野手19名でした。

 

参加可能選手は戦力外となった選手やプロ野球退団後に社会人野球や独立リーグに所属した選手となります。

いずれにしても一度は12球団に所属したことが条件になります。

高校野球や社会人野球・独立リーグのみの経験ではトライアウトには参加できないということですね。

一度でもNPBに所属した選手であれば何年ブランクがあっても参加できるということでもあります。

 

トライアウト結果一覧まとめ！

次に2018年のトライアウト に参加した選手を一覧にまとめていきます。

トライアウトの成績、その後の行先・進路等についても記しています。

投手	元所属球団	選手名	トライアウト成績	行先・進路等
	日本ハム	新垣勇人	無安打・1四球	東芝・投手コーチ就任
		高良一輝	1安打・1奪三振	エナジック(社会人野球)
	楽天	コラレス	3三振	キンタナロー・タイガース
		宮川将	無安打	BC武蔵選手兼任コーチ
		横山貴明	2安打	福島レッドホープス選手兼投手コーチ
	西武	玉村祐典	無安打・1四球	オールフロンティア(社会人野球)
	オリックス	塚田貴之	無安打・2四球	福井ミラクルエレファンツ
		佐藤世那	1安打・1四球	横浜球友クラブと契約
	ロッテ	宮崎敦次	1安打・1四球	広島・打撃投手に就任
	ソフトバンク	児玉龍也	無安打・1奪三振・2四球	球団職員
		伊藤祐介	無安打・1奪三振	打撃投手
		山下亜文	無安打・2奪三振	巨人と育成契約
		斎藤誠哉	無安打	栃木ゴールデンブレーブス
	ヤクルト	成瀬善久	2安打	オリックスと契約
		古野正人	1安打	阪神打撃投手
		久古健太郎	無安打・1奪三振・1四球	引退
	横浜	須田幸太	無安打・1奪三振	JFE東日本(社会人野球)
		福地元春	無安打・1奪三振	BC信濃　選手兼任コーチ
	阪神	山本翔也	無安打・1奪三振・1四球	保険会社就職予定
	巨人	渡辺貴洋	無安打・2奪三振・1四球	JFAM EMANON
		乾真大	1安打・1四球	富山GRNサンダーバーズ　投手コーチを兼任
		廖任磊	無安打・2奪三振	西武が獲得
		篠原慎平	無安打・1奪三振・2四球	THINKフィットネス・GOLD'S GYMベースボールクラブ（社会人野球）
	中日	若松駿太	無安打	BC栃木
		山本雅士	無安打・3奪三振	BC富山
		関啓扶	無安打・1奪三振・2四球	歯科技工士の専門学校へ
		吉田嵩	無安打・1奪三振・2四球	JPアセット証券（社会人野球）
	カープ	オスカル	無安打	新日鉄かずさマジック
		辻空	無安打・1四球	埼玉武蔵ヒートベアーズ
野手	楽天	枡田慎太郎	2安打・2三振	引退
	西武	藤沢亨明	無安打・3三振	愛媛マンダリンパイレーツ
	ロッテ	菅原祥太	無安打・1四球・1三振	新波（社会人野球）
	ソフトバンク	城所龍磨	2安打・1四球・1三振・1盗塁	球団スタッフ
		森山孔介	無安打・1四球・2三振	ソフトバンク本社社員
		吉村裕基	1安打・1三振	オランダリーグ
		松本龍憲	1四球・2三振	BCリーグ
	オリックス	園部聡	無安打・1四球	JX-ENEOS（社会人野球）
	ヤクルト	比屋根渉	無安打・3三振	大和高田クラブ
		鵜久森淳志	無安打・2四球・1三振	ソニー生命で営業職に就く
	阪神	西岡剛	1安打・1三振	BC栃木
		今成亮太	無安打・1三振	引退 アカデミー担当コーチ
		西田直斗	1安打・1三振	引退
	巨人	河野元貴	無安打・1四球	不明
		中井大介	1安打・2四球	DeNAが獲得
		青山誠	無安打・3四球・1三振	JX-ENEOS入社
		松沢裕介	1安打・1四球	仮設足場工事会社「タニモト」入社
		辻東倫	無安打・3四球	アカデミーコーチに就任
		高橋洸	無安打・2四球・1三振・1盗塁	株式会社メディカリJP入社

2014年までは1年に2回行われていたトライアウト。1回目のトライアウトで不合格だった選手が2回目のトライアウトに参加することも可能でしたが、2015以降は1回のみの開催となっています。

多くの選手がこの日の一発勝負にかけました。

 

合格者は下記の4名でした。

48名が参加したトライアウトで4名のみが合格。

NPB復帰は非常に狭き門と言えますね。

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注目されたトライアウト参加選手について

2018年トライアウトで注目された選手の結果・進路はどうだったのか見ていこうと思います。

－元ヤクルトの成瀬善久投手

2007年に16勝1敗、防御率1.81という驚異的な成績を残し、ロッテのエース左腕として君臨した成瀬善久投手。FAで2015年にヤクルトに移籍してからは4年間で6勝しかあげられず、2018年に戦力外通告を受けました。

トライアウト後、オリックスへの入団が決まった成瀬投手ですが、実はトライアウト直後はどの球団からも連絡が無く、BCリーグの栃木ゴールデンブレーブスへの入団を決めかけていたそうです。

戦力外通告を受けた後、ヤクルト時代の同僚で小学校・中学校の先輩でもある栃木GBのヘッドコーチ・飯原さんから「地元に貢献してみないか？」と連絡があったそう。トライアウトを受けたものの１週間待ってもNPB球団からの連絡がなかったため、飯原さんに「行きます」と口頭で伝え、「そろそろ栃木で物件を探そう」と思っていた12初旬にオリックスの西村監督から「うちでテストを受けてみないか」と直々に電話がありオリックスとの契約に繋がりました。

NPBでの現役続行が叶った成瀬投手ですが、野球人生の最後は栃木で終えたいと考えているそうです。

 

－元中日ドラゴンズの関啓扶選手

高校時代は最速148キロをマークし、2011年に中日に入団した関啓扶投手。しかし、1軍登板はないまま3年で戦力外となりました。

現役を引退し、2014年から球団のマネージャーを務めていましたが、5年のブランクを経てトライアウトに挑戦することになりました。

なぜ5年のブランクがあったにも関わらず現役復帰を目指すこととなったのでしょうか。

関投手は球団のマネージャーとして現役選手や首脳陣から一流投手の調整方法や配球論を聞くうちに、だんだんと投手としての現役復帰を模索するようになったと言います。

そして出身校・菰野高校のOB戦へ登板したところ、ストレートで最速141km/hを計測したことで「イップスを克服した」「まだ投げられる」といった感覚を得られ、トライアウトへの参加を決意しました。

関投手はトライアウトの直後、中日以外のNPB球団からの獲得のオファーの有無にかかわらず、中日球団を退職する予定であることを公表しました。

社会人野球チームとクラブチームからの連絡はあったものの、NPB球団からのオファーは無かったため、2019年4月からは「歯の悩みを抱える選手が中日に多い」という実態を踏まえて、歯科技工士へ転身すべく歯科技工士の専門学校へ進学しました。

 

NPBでの現役引退後、実戦での登板から5年間遠ざかったまま、トライアウトに投手として参加した事例は関投手が初めてだったそうです。

 

－元ソフトバンクホークスの吉村裕基選手

2006～2008年には毎年20本を超えるホームランを放ったベテラン外野手の吉村裕基選手。

しかし、2010年からは大きく成績を落としました。

2014年に中距離打者として復調を見せクライマックスシリーズのMVPにもなった吉村選手ですが、その後は続かず、2018年は1軍出場が無いまま戦力外となりました。

 

トライアウトで1安打を放つもNPB球団からのオファーは届かなかった吉村選手。

それでも現役へのこだわりを見せる吉村選手は海外でのプレーも視野に入れていることを明かしました。

吉村選手はトライアウトを受ける傍ら、海外での契約を模索する選手達を集めたチーム「アジアン・ブリーズ」に参加しました。「アジアン・ブリーズ」はアメリカで試合をすることで見に来ている海外球団のスカウト担当の前でアピールする機会が得られます。

 

その後、フーフトクラッセのデ・フラスコニンフ・ツインズと契約し、吉村選手はオランダリーグで現役選手として活躍しています。

 

 

まとめ

・トライアウトはシート打撃形式で行われ、カウントは１ボール１ストライクからスタート。投手は１人につき打者３人と勝負、野手は１人につき異なる投手と約４打席～６打席勝負する。

・参加した選手は全部で48名（投手29名、野手19名）。合格者は4名。

・成瀬善久投手はオリックスからのオファーあり。実はトライアウト直後はどの球団からも連絡が無く、BCリーグの栃木ゴールデンブレーブスへの入団を決めかけていた。

・関啓扶投手はトライアウト後オファーなし。一度現役を引退し、2014年から球団のマネージャーを務めていたが、5年のブランクを経てトライアウトに挑戦。

・吉村裕基選手はトライアウト後オファーなし。海外での契約を模索する選手達を集めたチーム「アジアン・ブリーズ」に参加し、その後オランダリーグで活躍している。

 

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