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テッド・ウイリアムズの凄さが分かる名言・語録集!4割打者の伝説エピソードから努力論まで

野球は記録のスポーツであり、数字のスポーツでもあります。その積み重ねの中で、投手ならば2桁勝利、打者ならば打率3割というのが、一流選手の証となりました。そしてアンタッチャブルレコードが作られ、手が届きそうで届かない憧れの記録も生まれます。そのひとつがシーズン打率4割。メジャーリーグで最後に記録されたのは1941年。その最後の4割打者がテッド・ウイリアムズです。

メジャーリーグでシーズン打率4割は27回記録されていますが、その多くは1920年代までのもので、それ以降は1930年にひとり、そして1941年のウイリアムズだけです。1994年にトニー・グウィンが打率.3938と4割に迫る記録を叩き出しましたが、これは選手会によるストライキで試合数が少なかったためでもありました。

日本では到達者はなく、メジャーでも80年以上記録されない打率4割ですが、現役時代に落合博満が「ヒットだけ狙えば4割打てる」と語ったり、2023年のメジャーリーグではルイス・アライズが6月まで打率.399の高打率を残したり、まだ到達可能かもしれない夢として存在しています。

今回は打者の夢でもあるシーズン打率4割の最後の達成者テッド・ウイリアムズの凄さが分かる名言や語録を紐解き、その伝説エピソードから努力論にまで迫ります。

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テッド・ウイリアムズについて

まずはテッド・ウイリアムズの経歴を追ってみます。

本名セオドア・サミュエル・ウイリアムズ。1918年8月30日生まれ、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴ出身。8歳の時にセミプロの野球選手だった叔父から投げ方を学び、ハーバートフーバー高校では投手として活躍し、在学中にニューヨーク・ヤンキースとセントルイス・カージナルスからオファーがあったものの、まだ若すぎると母親が反対し、地元のパシフィック・コースト・リーグのサンディエゴ・パドレス(メジャーリーグの同名チームとは別)に入団しました。

1936年から2年間、パドレスで活躍し、高校を卒業するとボストン・レッドソックスと契約。1938年はダブルAのミネアポリス・ミラーズに所属し、キャンプでは3冠王を2度獲得し、打率4割以上を3度達成したロジャース・ホーンズビーの指導を受けます。この年、アメリカン・アソシエーションの3冠王となり、1939年にメジャーデビューします。

1年目から大活躍を見せ、打点王を獲得。1941年にはシーズン最終日前まで、打率.3995。打撃記録としては少数点4位が四捨五入されるため、打率4割ちょうどとなりますが、ウイリアムズはこれを良しとせず、最後のダブルヘッダーに出場。2試合で8打数6安打を放ち、打率.406を記録します。これは打率4割達成者の中で24歳2ヶ月で達成したジョー・ジャクソン(別名シューレス・ジョー)を抜いて、23歳1ヶ月という最年少記録となり、また2023年に至るまで、最後の4割打者となっています。

翌1942年には3冠王を獲得。しかし同年に徴兵でクラス3-A(扶養家族の困窮のため徴兵を猶予)とされていた期間が過ぎ、1943年に海軍予備役に入隊。1944年には海軍飛行士として海兵隊の少尉に任官。ハワイの真珠湾で終戦を迎えます。1946年1月に除隊し、再びレッドソックスに加わりました。

3年間のブランクを感じさせないウイリアムズは、リーグMVPを獲得する活躍を見せ、チームもワールドシリーズに進出します。しかしシリーズでは予想外の不振に陥り、彼が経験した唯一のワールドシリーズは、苦い思いと共に敗退します。

1947年には2度目の3冠王。1949年は2度目のリーグMVP。しかし1952年に6試合に出たところで、今度は朝鮮戦争に召集されます。1953年8月にメジャー復帰。その後も1957年から2年連続首位打者に輝き、特に1958年の40歳での首位打者は2004年のバリー・ボンズと共にメジャーリーグ最年長記録となっています。

1960年に引退しますが、その年も打率は.316。現役最終打席をホームランで飾りました。

メジャーリーグ通算19年、2654安打、521本塁打、24盗塁、打率・344。MVP2回、首位打者6回、本塁打王4回、打点王4回、3冠王2回。通算出塁率.482はメジャーリーグ史上1位。

引退後は1966年に野球殿堂入り。1969年からワシントン・セネタース(現テキサス・レンジャーズ)の監督を4年間務めました。2002年に83歳で逝去。

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私が選ぶ、テッド・ウイリアムズの凄さがわかる名言・語録集

【名言語録その1】

「自分がそれほどいいプレーヤーだなんて思ったことはなかった」

この言葉は引退後に『走れウサギ』や『イーストウィックの魔女たち』などの著作でピューリッツァー賞などを受賞したジョン・アップダイクが彼を再評価したことに対しての答えです。

変わり者として知られたウイリアムズ。試合前の打撃練習では「俺は何でこんなにすごいんだ」とか、「俺はどんどんうまくなってしまう」などと自画自賛しながら、バットを振っていたそうです。

ネクタイをするのが嫌いで、それをしなければならないようなパーティーには出席しないか、わざとネクタイをしない格好で現れ、マスコミに悪態をつき、トラブルばかり起こしていて、自らの引退試合でも観客に帽子さえ取らずにグラウンドを去りました。

多くの悪態をつき、ダグラス・マッカーサーを自らのアイドルと呼び、こよなく釣りを愛し、2度も従軍したまさにタフなヤンキーであるウイリアムズですが、そんな反面、現役時代は夜10時には床に就き、煙草も一切吸わないなど、自己管理は欠かしませんでした。

更には78回転で回るレコード(通常のLPは33回転)のラベルが読めたという動体視力と、7706打席のすべてを記憶していたという頭脳を持っていたウイリアムズ。通算で4年8ヶ月の兵役がなければ、前後の記録からみて通算3000本安打と600本塁打は間違いなく越えていたでしょう。もしかしたら、シーズン打率4割ももっと達成していたかもしれません。

そう考えると「それほどいいプレーヤー」だと思っていなかったというのは、もっとやれた筈という秘かな矜持なのかもしれません。

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【名言語録その2】

「俺は少し変わった立場にいるだけなんだ」

変わり者だと言われることに対してのウイリアムズの答えです。続けて彼は「本当にいろんなことが起こった。だから世間一般の奴らと比べれば変わった人生を歩むことになったんだ」と語っています。

確かにメジャーリーガーになるだけでも特別ですし、その上、これだけの成績を残すことは更に特別です。それほどの有名人でありながら、2度の兵役についた人も珍しいと思います。そして今となっては最後の4割打者というのは伝説に等しい価値があります。

2002年のインタビューで「次に4割を達成する打者は?」と聞かれ、ウイリアムズは「イチローだ」と答えましたが、そのイチローもすでに引退をし、4割打者は現れそうにありません。

進化学者として有名なスティーヴン・ジェイ・グールドは、4割打者が途絶えた理由をわかりやすく説明しています。かつては草野球からいきなりメジャーで投げるような投手もいて、実力的に劣る投手を打ちまくっていたから高打率が残せた。しかしメジャーの体勢が整備され、育成システムが確立されるようになると、しっかり実力を備えた投手が増えた。つまり選手の実力差が縮まったのだというのです。それはどんな分野でも頷けるところがあります。今の時代ならば、たとえウイリアムズでも4割を打つのは難しいでしょう。

ただし、そうではあっても他人より秀でることは、どんな時代であれ容易なことではありません。ウイリアムズが引退後に語った言葉にそれが表されています。

「私は選手生活が終わったことが嬉しい。なによりも終わったことが嬉しい。現実を知っていたなら、仮に戻れたとしても18歳や19歳なんてごめんだ。この世界のつらさや苦しさ、そしていつも自分の方に世界がのしかかり、骨をすりつぶしているような感覚を知ってしまった今では、そんなことは考えられない。何があっても戻らない。戻りたくない」

どんな時代であれ、一流になる人は、その身をすり減らすようにして、戦っているのです。ゆえにその価値は、どれだけ年月が経っても色あせはしないのです。

 

【名言語録その3】

「そんな色に髪を染めない方がいいぞ。どっちにしろ、禿げるんだからな」

釣り好きのウイリアムズが、友人である釣具店の店主に、商品が高いと文句を言って、更に上記のような悪態をついたそうです。

またパーティーに出ない理由については「クソみたいな話を聞かなければならない」からだとこき下ろし、球場の人工芝については「絨毯の上でやるベースボールはベースボールじゃない」と言い放つ。

『テッド・ウイリアムズのバッティングの科学』という本の中で、自分のバッティングの極意を語っていますが、ホームランを打つ力のないものには勧めないと切って捨てています。

自分の死後には冷凍保存する遺言を残し、長男と長女の間で保存と火葬でもめ、結果として頭部だけを冷凍保存し、胴体は火葬にされました。

それがテッド・ウイリアムズです。生きていても亡くなっても、次の4割打者が生まれる時まで、人騒がせな男です。


 

名言からの学び

・謙遜と不遜は背中合わせにある

・時代に関係なく、一流であることは簡単ではない

・良い人ばかりが魅力的なわけではない

 

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