高橋由伸の凄さがわかる名言・語録集!天才バッターの伝説エピソードから人生哲学まで
2019/11/04
「無冠の帝王」という言葉があります。誰もが認める実力者でありながら、大きなタイトルには無縁だった者に使われます。「帝王」と呼ぶには、どこか品が良くて「貴公子」という方が似合いそうなジャイアンツの「無冠の貴公子」こそ高橋由伸です。
3歳で当り前のように左打ちをはじめ、子どもの頃から天性のバッティングセンスを見せながらも、野球を辞めたがっていたという人見知りの少年が、伝統ある東京六大学で活躍し、人気球団のスター選手にのぼりつめ、監督にまでなりました。
しかし本人は大学で活躍してもあまりプロを意識せず、プロを考え始めてからも、初めは伸び伸びとプレーできそうなチームに興味を持つなど、何が何でもというガツガツとした強い感情を見せることはなく、どこか泰然自若としていました。
今回はクールで静かなる天才バッター、高橋由伸の凄さがわかる名言や語録を紐解き、伝説エピソードから人生哲学まで迫ります。
高橋由伸について
まずは高橋由伸の経歴を追ってみます。
1975年4月5日生まれ、千葉県千葉市出身。中学時代から4番でエースとして活躍。全国大会を連覇します。
本人は野球だけでなく大学進学を視野に、桐蔭学園高校へ入学。プロのスカウトの目にとまる選手ほどだったものの、野球だけにのめり込みたくない高橋は慶応大学へと進学。
本人の思惑とは別に、大学では1年時からレギュラーとなり、3年になるとリーグ3冠王を獲得。東京六大学のスター選手として、史上1位となる23本塁打を放つなど、スター街道を突き進みます。ドラフトでは逆指名がある時代だったので、多くの球団がアプローチをするものの、本人は大学で慣れ親しんだ神宮球場でもあり、気楽にプレーできそうなヤクルトスワローズを希望。しかし最終的には読売ジャイアンツを逆指名し入団しました。
1年目から強打で堅守の選手として活躍。満塁ホームランを3本放ち、捕殺12という強肩を発揮して新人初のゴールデングラブ賞を獲得。新人王は川上憲伸に譲ったものの、リーグからは特別表彰されました。
2年目のシーズンには四番を務め、オフには年俸1億円を突破。早くも一流プレーヤーとして評価を獲得します。その後も主軸や一番打者を務め、選手会長も経験し、ジャイアンツ生え抜きの選手として18年間の現役として活躍。
18年間通算で安打1753本、本塁打321本、打率.291。ベストナイン2回、ゴールデングラブ賞7回。打撃タイトルは取れませんでしたが、新人から6年連続のゴールデングラブ賞を受賞したのは高橋のみで、11打数連続安打や1シーズンで9本の先頭打者本塁打など、日本プロ野球史上1位の記録を残しています。
引退直後の2016年シーズンからジャイアンツの監督に就任し、2018年シーズンをもって辞任。その後は球団特別顧問や解説者をしています。
私が選ぶ、高橋由伸の凄さがわかる名言・語録
【名言・語録その1】
「理想はすべてにおいて2番でいること。どれかひとつがずば抜けているのは、自分らしくないと思うんですよ」
あまり目立つことを好まない高橋らしい言葉です。子どもの頃は野球があまり好きではなかったそうで、天賦の才と本人の好みが必ずしも一致しないというのが興味深いですが、そのために出来る限り伸び伸びと野球をやれる環境を好んだようです。
学生時代には体育会の持つ独特の縦社会を嫌い、高橋が上級生になると、無茶な慣習は止めさせ、下級生も積極的に参加できる形に変えて行きました。
「何かで1番になるために他が犠牲になるのなら、全部2番の方がいい。その方が自分のことを見失いませんからね」
この言葉からわかる通り、高橋は無闇に自分自身を過大評価するのではなく、自分らしさを追求するために、常に一歩引いた視点で物事を見ようとしていたようです。
その驕らないところが、高橋のクールさの正体であり、野球に対しての距離感なのだろうと思います。
【名言・語録その2】
「自分で天才とは言わないが、プロ野球に来る人は強弱はあれど、みんな才能があると思う。その才能の生かし方には差があって、入団以降に伸びた選手もいれば、生かしきれずもったいない選手もいる」
天才と呼ばれる高橋ですが、「大学の時はね、野球のことでは悩まなかった」と発言しています。しかしプロ5年目に「いろいろなカベがあることを知りました」とも言っています。
確かにプロになるほどの選手たちは、チームではエースで四番だったとか、県下では名の知れた存在だったとか、早くからその才能を知られた人が多いと思います。しかし将来の大器としてドラフト1位で入団しても芽が出ない人もいるし、かつてのドラフト外や現在の育成枠から一流選手になる人もいます。
スワローズの正捕手だった古田敦也は「逆方向への長打は高橋由伸が圧倒的」と絶大な評価をしています。その才能から他者には順風満帆に見えた高橋でも「カベ」があったというのは、改めてプロの難しさと厳しさを感じます。
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「使ってもらえるかどうかが野球。使ってもらえないと始まらない。だから自分を使ってくれて、求められたら絶対に結果を残さないと。結果を残せないなら、野球人としては終わり」
あまり感情を表に出さない高橋ですが、上記の発言から、冷静な男だからこそ、しっかりと貪欲に結果を求め続け、それを実現したきたことがわかります。
【名言・語録その3】
「監督として自分の色を出す、出さないではなく、まずは勝つか負けるかだと思う」
現役を引退後、すぐに監督に就任した高橋は、同様に監督になった長嶋茂雄と比べられることが多々ありました。似ているのは状況だけでなく、おそらくファンはもう少し現役選手でいて欲しかったという願望を抱いた点でも似ていたと思います。
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「もともと監督へのイメージはなかったけれど、求められたところで仕事をすることは幸せだと思う」
そう監督就任について語っていましたが、おそらく本当に監督など考えてはいなかったのだろうと思いますし、高橋らしい言葉です。
監督としての苦労として、ギャレット・ジョーンズの獲得を検討している時、「ほとんどアウトの映像なんだもん。どうですか、って聞かれてもわかんないよ」とぼやいていたという話があります。ほとんど笑い話ですが、監督の苦労が目に浮かびます。
3年間の監督生活で優勝はなかったものの、Aクラスは2度。世代交代期のチーム事情を考えれば悪くはない成績だと思います。しかし常勝を掲げたジャイアンツだけに「勝つか負けるか」を意識していた高橋にとっては、十分に責任を感じるものだったのでしょう。
「今はやっと引退、という感じが強いですね」
そう言って21年間着続けたユニフォームを脱いだ高橋ですが、いずれまた必ずユニフォームを着る姿が見られるだろうと思います。
名言からの学び
・才能は、それを生かす環境作りが大事である。
・どうあれ結果を出すのが天才である。
・求められて仕事をするのは幸せである。
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