ポール・ゴールドシュミットの凄さが分かる名言・語録集!天才メジャーリーガーの伝説エピソードから努力論まで
2022年シーズン、日本プロ野球では村上宗隆が史上最年少での三冠王に輝き、大きな話題となりました。同じ年、アメリカのメジャーリーグでは、シーズン終盤まで史上最年長の三冠王が誕生するのではないかと話題になっていました。それがポール・ゴールドシュミットです。
残念ながらゴールドシュミットは三冠王に手が届きませんでしたが、35歳にしてナショナルリーグのMVPに輝きました。かつてはトリプルスリーを期待される万能選手でしたが、年齢を重ねた現在、主軸として高い長打率やOPSを誇る、メジャーを代表するスラッガーです。
2023年の第5回WBCでもアメリカ代表として、決勝進出に貢献しましたが、決勝で戦った日本代表の大谷翔平が、試合前のスピーチで「憧れるのをやめましょう」と語ったメジャーリーガーの1番手として名前が上がったのはゴールドシュミットでした。
大谷も注目するポール・ゴールドシュミットの凄さが分かる名言や語録を紐解き、天才メジャーリーガーの伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
目次
ポール・ゴールドシュミットについて
まずはポール・ゴールドシュミットの経歴を追ってみます。
1987年9月10日生まれ、アメリカ合衆国デラウェア州ウィルミントン出身。ザ・ウッドランズ・ハイスクールでは三塁手を務め、2006年にはテキサス州選手権で優勝しました。同年のドラフトでロサンジェルス・ドジャースから49巡目に指名されますが、テキサス州立大学サンマルコス校へ入学。3年間でチーム新記録となる本塁打、打点、四球などを記録。2009年のドラフトでアリゾナ・ダイヤモンドバックスから8巡目で指名されて入団します。
2011年の8月にメジャーデビューし即、一塁手スタメンで起用。2試合目には初本塁打を記録します。ポストシーズンでも活躍し、2012年からレギュラーに定着しました。2013年には打率.302、36本塁打、125打点で本塁打王と打点王を獲得しますが、盗塁も15回決めていて、トリプルスリーがもっとも期待される選手となります。
2014年は死球による骨折で規定打席には達しませんでしたが、2015年にはトリプルースリー目前の打率.321、33本塁打、21盗塁を記録し、翌2016年には自己最多となる32盗塁。2017年に通算1000安打に達し、この年から3年連続で30本塁打以上を放ちました。
2018年オフにセントルイス・カージナルスへトレードとなり、コロナウイルスの影響で60試合となった2020年を除き、2022年まで30本塁打以上を続けます。彼が移籍後のカージナルスは4年連続でポストシーズンに進出し、特に2022年はシーズン終盤まで三冠王も狙える勢いで、最後はそれを逃したもののチームの地区優勝に貢献。ナショナルリーグのシーズンMVPに輝きました。
2022年シーズン終了までメジャーリーグ通算12年、1750安打、315本塁打、147盗塁、打率.295。MVP1回、本塁打王1回、打点王1回、ハンク・アーロン賞2回、シルバースラッガー賞5回、ゴールドグラブ賞4回。
さすがにトリプルスリーは厳しくなりましたが、その長打力と勝負強さはまだまだ衰えを知りません。
私が選ぶ、ポール・ゴールドシュミットの凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「野球が仕事になると考えたことは正直なかった」
大学では金融学を専攻していたゴールドシュミット。マイナーリーグでプレーしていた時も、まだメジャーリーガーになれるかわからなかったので、世界的に有名な金融グループであるモルガン・スタンレーでインターンシップに参加できるように準備をしていました。
「1日だけでも社員の指示に従ったり、1週間、幾つかの部署で研修したりするなど、許可されればどんな形でも挑戦してみたい」というゴールドシュミットの気持ちは本気でした。フィラデルフィア・フィリーズで投手としてプレーし、現在は金融アドバイザーをしているパット・コームズを通して計画していることを、金融情報大手のブルームバーグが記事にしています。
ゴールドシュミットの頭の良さと分析力の高さは、もちろん野球でも生かされていて、彼の1塁到達速度は4.4秒です。同じ右打者で体型の似ている岡本和真が2019年に同じ4.4秒で、通算8年間の総盗塁数が11であることを考えると、シーズン32盗塁を記録したことのあるゴールドシュミットの走塁は驚きです。彼は投手の癖を見抜いたり、球種の読みが上手く、たとえば「左投手が一塁走者をまったく見ようとしない時は、かならず牽制してくる」とか「やたらにらみつけてくる時は、打者に投げようとする前兆だ」など、能力を補う知恵があり、それがトリプルスリーを期待させるほどのプレーにつながったのです。
【名言語録その2】
「それを目標にすることなんかできない」
2022年シーズン終盤まで三冠王の可能性があったゴールドシュミット。周囲がそれで盛り上がっていても「そんなことが起これば奇跡だ」「目標にすることなんかできない」と謙虚な姿勢を崩しませんでした。
ドラフト8巡目ですが、ダイヤモンドバックスは彼の前に5人の内野手を指名しており、現在の実績からは想像できないほど、大きな期待を受けていたわけではありません。
あるメディアがチームメイトに、あえて彼の悪口を言ってとインタビューしたところ、ほとんどの選手が「彼は完璧」「言うことが無い」と答えました。ロビー・レイは「彼は静かすぎる」と言うほど、紳士な男と評価されています。
2023年5月、投手大谷との対戦では死球を受けてしまいますが「ショウヘイは抑えようとして、私は打とうとした。だから時にこういうことが起きてしまうんだ」と笑い飛ばしました。
人格などスポーツには関係ないと言う人もいますが、やはりプレイスタイルにはその人が現れるものです。「目標にすることなんかできない」という謙虚さの裏には、投資がなければリターンがない、彼が得意とする金融の世界のようなリアリズムがあるように思います。
【名言語録その3】
「映画の筋書きのようだと僕はジョークを飛ばしたよ」
2023年の第5回WBCに参加し、主軸を打ったゴールドシュミット。「何よりも勝ちたい。100%勝つことだけを考えている」と意気込んでいましたが、結果は日本に破れ、準優勝に終わりました。
その決勝戦の最終回、日米の野球ファンなら誰しも見たかった、投手大谷VS打者トラウトの対決を、ゴールドシュミットは特等席ともいえるネクストバッターズサークルで見ていました。そのシーンを「映画の筋書きのようだ」と語っています。
一発が出れば同点という場面での「地球上で最高の選手2人」と讃える対決は大谷軍配があがり、間違いなく悔しい気持ちはあった筈ですが、ゴールドシュミットは「WBCでプレーした日本の選手やNPBをリスペクトしている」と相手を評しました。
「日本の野球は全てが素晴らしい。素晴らしい選手たちがいるし、野球の仕方を知っている。基本に忠実な野球をするし、とても努力するし、日本では野球は大人気だ。僕達は彼らをとても尊敬している」
大谷が試合前のスピーチで「憧れるのをやめましょう」と、逆説的にリスペクトを見せましたが、ゴールドシュミットもまた日本の野球をリスペクトしてくれました。スポーツの価値が勝ち負けだけではないことを、改めて教えてくれたのです。
名言からの学び
・足りないものを補う知恵が才能を越えさせる
・すべての言動にその人格が表れる
・勝敗とリスペクトは関係ない
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