上原浩治の凄さが分かる名言・語録集!かっこいい天才投手の伝説エピソードから雑草魂まで
先発投手に必要な能力は6回か7回くらいまでゲームメイクする力でしょうし、中継ぎ投手に必要な能力は走者がいる場面も多いので三振やダブルプレーを取れるボールを持っていることでしょう。そして抑え投手には勝ったままゲームを終わらせるタフさが求められるだろうと思います。
そのすべてのポジションで活躍し、日米通算100勝100ホールド100セーブ以上という記録を作り、メジャーリーグではワールドシリーズ優勝の胴上げ投手にもなったのが上原浩治です。
日本プロ野球史上、100勝100ホールド100セーブ以上をあげた投手は上原ただひとりですし、もちろんワールドシリーズ優勝の胴上げ投手になった日本人も彼だけです。日米で大活躍し、野球エリートと思われがちな上原ですが、高校時代は控え投手、大学も一般受験で一浪するという、まさに「雑草」から大輪の花を咲かせました。
速球は決して速いとはいえない140キロ台のボールですが、類まれなコントロールで並みいる打者に立ち向かい、見事に三振を奪うピッチングは気分爽快でした。
今回は令和の始まりと共に引退することになった上原浩治の凄さがわかる名言や語録を紐解き、かっこいい天才投手の伝説エピソードから座右の銘である雑草魂について迫ってみたいと思います。
上原浩治について
まずは上原浩治の経歴を追ってみましょう。
1975年4月3日生まれ、大阪府寝屋川市出身。東海大学付属仰星高校に進学しますが、後に日本ハムファイターズなどで活躍する建山義紀の控え投手で、公式戦に登板する機会はほぼありませんでした。卒業後、大阪体育大学を受験するものの不合格となり、一浪の末、入学を果たします。
インターコンチネンタルカップにおいて、アマチュアでは無敵を誇り、国際試合151連勝中のキューバに土をつけ、大学のリーグ戦や大学選手権でも活躍。一躍ドラフトの目玉候補となり、メジャーのアナハイム・エンジェルスも含めた争奪戦の末、逆指名1位で読売ジャイアンツに入団。
1年目から鮮烈な活躍を見せ、ルーキーとして19年ぶりに20勝を上げるなど、新人王はもちろん沢村賞も含め、投手タイトルを総なめにしました。以来、新人20勝投手は現れていません。この年の流行語には上原の座右の銘である「雑草魂」が選出されています。
その後はチームの大黒柱となり、先発完投型のエースとして活躍しますが、2007年にはリリーフ投手の不調もあり、抑えに抜擢され、32セーブをあげます。先発で20勝以上した投手で30セーブをあげたのは江夏豊以来史上2人目です。2008年までにリーグ優勝3回、2度の日本一に尽力しました。
2008年オフに海外FA権を行使し、2009年よりメジャーリーグのボルチモア・オリオールズに移籍。1年目は先発、2年目はクローザー、3年目はセットアッパーと役割を変えながらもチームに貢献。2011年7月にトレードでテキサス・レンジャーズへ移籍。
2013年には大型契約で名門ボストン・レッドソックスに移籍。シーズン途中からクローザーに抜擢され、37人連続アウトなど大車輪の活躍を見せ、チームをワールドシリーズに導き、第6戦で世界一をつかみとり、胴上げ投手となりました。
2016年からはシカゴ・カブスに在籍し、2018年には日本へ戻り、ジャイアンツに復帰。オフに左膝の手術を受けますが、2019年は一軍登板がないまま5月に引退を表明しました。
日本では通算11年間で112勝、23ホールド、33セーブ、防御率3.02。メジャーでは通算9年間で22勝、81ホールド、95セーブ、防御率2.66。日本で得たタイトルは新人王、沢村賞2回、最多勝2回、最優秀防御率2回、最多奪三振2回、ベストナイン2回、ゴールデングラブ賞2回など、メジャーでもリーグチャンピオンシップのMVPを獲得しています。
私が選ぶ、上原浩治による名言・語録集
【名言・語録その1】
「ホントに自分が投げたいボールに100%の気持ちを乗っけて投げれば、ど真ん中に行ってもそんなに打たれることはないんですよ」
ルーキーイヤーに大活躍する上原ですが、特に印象的だったのはシーズン終盤、チームメイトの松井秀喜とヤクルトスワローズのペタジーニが本塁打王争いをしている最中で、ベンチからの指示でペタジーニを敬遠した時のことです。
上原は目に涙を浮かべながら四球を出し、マウンドの土を蹴り上げました。上原本人は「泣いていない」と語っていますが、少なくともテレビ中継でも悔しさが伝わってきました。
そのシーンはまさに「雑草魂」らしい、反骨心が伝わってくるものでした。「雑草魂」という言葉は300勝投手である鈴木啓示の造語である「草魂」をもとにしていると言われていますが、「雑草」とあえて「雑」をつけたところに上原の克己心がうかがえます。
「やらなくていいなら、なんにもしなくていいピッチングができるなら、練習なんてやらない。練習、嫌いやもん」
浪人時代から地道に練習をし、早くからメジャーを参考に自分流の調整術を模索するなどして、抜群のコントロールを手に入れ、頂点に上り詰めた上原だからこそ、説得力があります。
【名言・語録その2】
「コントロールもひとつの球種なんです」
上原の速球は150キロを越えるものではありませんでした。しかし無類の制球力で打者を翻弄しました。「K/BB」というコントロールと三振の関係をはかる指標があります。四球をひとつ出す間に、三振をいくつ奪っているかというものです。
日本で1500イニング以上投げた投手の中で、上原は断トツ1位の6.68を記録しています。2位が土橋正幸の4.61ですから、その凄さがわかります。上原は四球をひとつ出す間に、6つ以上の三振を奪っている。つまり四球が少なく、三振が取れる投手だということです。
メジャーでも、レッドソックスでワールドシリーズを制覇した年は、74イニング1/3で四球はわずかに9個。一方で三振は101も奪っています。メジャーで上原の速球は、間違いなく遅い部類に入ります。
しかしメジャー流の微妙に動かすボールと、日本流の伸びのあるフォーシームを使い分け、しっかりコントロールさえ出来れば空振りを取れるのを見せてくれました。
上原は引退会見のインタビューで「中途半端に先発、中継ぎ、抑えをやってしまった」と語っていましたが、昨年、200勝、2000本安打、250セーブ以上を入会基準として、プロ野球レジェンドたちが集まる日本プロ野球名球会は、投手の入会資格として100勝100ホールド100セーブ以上を有資格とすべきか議論しました。
これは明らかに上原を意識したものです。結論は出なかったようですが、少なくとも上原がそれらの記録に並びうる大記録を作ったというのは間違いありません。
【名言・語録その3】
「抑えたら、なんだっていいんですよ」
上原は「抑えの仕事は点をとられないことでもないし、ましてやヒットを打たれないことでもない」と言い、「役目は1点差でも逃げ切ること、勝つことなんです」と語っています。
中継ぎについては2013年のWBCの際、田中将大が不調で先発から中継ぎに「降格」と報道された時、「先発の調子が悪いから中継ぎに降格?降格ってなんやねん?中継ぎを馬鹿にするな」とSNSに書き込みました。
「中継ぎの気持ちは中継ぎになった者にしかわからない。走者がいる時にいきなりマウンドに上がれと言われて、抑えて当然。打たれたらなんでや?みたいになるのが中継ぎですから」
様々な状況で投げた経験が「抑えたら、なんだっていい」という投手の本質を教えてくれます。それは単純に結果オーライということではなく、勝ちにもいろいろな勝ち方があるということでしょう。
「抑えても年の功とか経験は評価されないのに、こと契約の話になると年齢の問題が浮かび上がってくることに、納得できない」
「グラウンドに立てば歳だろうが若かろうが、どっちが結果を残しているかという話なので」
近年、選手生命が伸びてきて、野球界も純粋に結果のみで評価されにくくなってきているように感じます。
それはどこか一般社会と通じるものがある気がします。だからこそもっともっと長く活躍して欲しい選手でした。
名言からの学び
・技術の向上は当然だが、最後は気持ちも重要である。
・人それぞれ様々な武器がある。
・年齢にとらわれず結果を正しく評価する。
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