村上頌樹の凄さが分かる名言・語録集!MVP・新人王W受賞者の伝説エピソードから努力論まで
MVP(Most Valuable Player)は、そのまま直訳すれば「最も価値のある選手」ということであり、その多くはその年のリーグ優勝に大きく貢献したと認められた選手が選ばれます。その価値あるタイトルと、その年もっとも優れた新人に贈られる新人王の両方を同じ年に受賞した選手は2022年までわずかに2人。そして2023年、セリーグでは初となるW受賞者が生まれました。村上頌樹です。
村上はこの年、プロ入り3年目でしたが、それまで1軍での登板イニング数は5.1イニングだけであり、新人王の資格を有していました。過去のW受賞者は1980年の木田勇、1990年の野茂英雄と共にプロ1年目の記録ですが、どちらも社会人から即戦力としての入団です。一方、大卒3年目の村上はファームで鍛えられた結果、掴みとったものであり、また違う価値があるのではないでしょうか。
また野茂のように巨漢ではなく、木田のようにサウスポーでもない、オーソドックスな右オーバーハンドで、身長175センチとプロの投手としてはかなり小柄の投手であるのも、特別なギフトを持つわけではない多くの中・高校生の投手に希望を与えるものだったのではないでしょうか。
今回はセリーグ初となるMVP・新人王W受賞した村上頌樹の凄さが分かる名言や語録を紐解き、その伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
村上頌樹について
まずは村上頌樹の経歴を追ってみます。
1998年6月25日生まれ。兵庫県三原郡南淡町(現南あわじ市)出身。小学校1年生から野球を始め、3年生の時から投手を務めるようになります。奈良県の智辯高校に進学し、1年の夏からベンチ入り。1年生の時に夏の選手権大会、3年生では春の選抜及び夏の選手権大会で甲子園に出場します。選抜大会では5試合をひとりで計669球を投げ抜き、優勝。卒業後は東洋大学に進学。激戦の東都リーグで春季リーグ4連覇に貢献し、日米大学野球選手権で日本代表にも選ばれます。2020年のドラフト会議で阪神タイガースから5位指名を受けて入団しました。
2021年のルーキーイヤーから1軍で2試合に登板。2軍では最多勝、最優秀防御率に輝きます。2022年は1軍登板はなく、2軍で2年連続の最多勝、最優秀防御率を獲得。そして2023年には4月1日に1試合リリーフ登板で好投した後、先発入りを果たすと、無四死球10奪三振完封で初勝利を上げます。そのまま4月は25イニング無失点で投げ抜き、月間MVPを獲得。結局、開幕からの無失点は31イニングまで伸ばし、セリーグタイ記録となりました。以降もそのまま先発ローテーションを守り、10勝を上げ、防御率1.75。新人王、最優秀防御率のタイトルに輝き、チームの38年ぶりの日本一に大きく貢献。リーグMVPにも輝きました。
2023年シーズン終了時点で、プロ通算3年間、10勝、1ホールド、防御率2.29。新人王、最優秀防御率1回、MVP1回。
オフには球団史上最高のアップ率で契約更改した村上。これからしばらくは「虎の村神様」として活躍を続けてくれそうです。
私が選ぶ、村上頌樹の凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「腕で投げるのではなく足で投げる」
村上が飛躍の年を迎えるきっかけとなったのが、2023年の1月に青柳晃洋に誘われて参加した自主トレーニングです。タイガースで令和のエースとして安定した成績を残し続けている青柳から「左足を着いてから投げる。それだけでいいんだよ」とアドバイスされ、腕を強く振りたい気持ちが先走って、左肩が開き気味になってしまいがちなところを、「足で投げる」感覚で改善出来たのです。
「しっかり左足を着いてから、自分の力を一番出せるタイミングで投げる。この感覚がバチっとはまったんです。軽く投げている感じでもボールがいくようになったんです」
「腕で投げるのではなく足で投げる」感覚をつかみ取ったことで、ストレートの平均球速も上がり、質も上がったという村上。それを彼は「まっすぐが強くなった」と表現しています。強いまっすぐで空振りを取れるようになり、村上の快進撃は始まったのです。
【名言語録その2】
「こういうピッチャーが勝てるんや、と感じました」
村上が勝てるピッチャーとして脱帽した相手は、山本由伸です。2023年6月に初対戦した際、山本の投球を観察していた村上は「ピンチの方が、こっちに点、入らんやん」と感じたそうです。村上から見て、山本は相手打者の調子や試合の流れを考えながら、強弱をつけて投げていました。
「ギアを上げた時、さっき投げていた球と全然、速さもキレも違う」
それはエースと呼ばれ、しっかりとローテーションを守り続けられる投手の技であり、更にデータなどを駆使した学びの賜物でもあります。
村上が特に意識するデータは初球のストライク率です。それは捕手の坂本誠志郎のアドバイスによるものです。坂本は彼にカウントによっての打者心理を伝えました。更に「ストライクのカウントが進むにつれて打者の打率は下がる」というデータから、初球にストライクを取ることの有効性を強く認識したのです。
山本や坂本から学んだことを、自分のものとして生かした村上。彼の開花は起こるべくして起こったのだと言えます。
【名言語録その3】
「今でもですけど、僕は投げるのが大好きなんです」
その言葉通り、村上は高校時代に優勝した選抜大会で669球をひとりで投げ抜きました。大学でも頼られるエースとして踏ん張り、ドラフト前のリーグ戦で右前腕の肉離れを起こしてしまいます。東洋大学の監督だった杉本泰彦は村上に頼りすぎた結果、故障させてしまい、予想よりも低いドラフト5位の指名となってしまったと、反省と謝罪をこめて語っています。
しかしタイガースの岡田彰布監督は、投げたがりの村上に無理はさせない起用に徹しました。21回の先発で、完投は2回。特にシーズン序盤は完全試合ペースで好投していても、交代させるような采配がありました。
4月12日のジャイアンツ戦、村上は7回まで完全ペースの投球を見せていたものの、岡田監督は8回に彼の打順で代打を送り、降板させました。村上は内心「1人ランナー出るまでいいやん」と思ったそうです。賛否両論が巻き起こった交代劇でしたが、岡田としてはまだ実績のない投手に良いイメージを持ったまま、次につなげたかったのと、シーズンを通した活躍を見据えて、できるだけ疲労を蓄積させたくなかったのだろうと思います。
「虎の村神様」だけに、良縁に恵まれたということはあるのでしょうが、縁やアドバイスを自分のものにしていったのは、間違いなく彼自身の成せる業です。
名言からの学び
・ちょっとした修正が全体を変える
・見て学び、考えて学ぶ
・縁を生かすのはその人自身の力量である
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