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バレンティンの凄さが分かる名言・語録集!天才ホームラン王の伝説エピソードから人生哲学まで


プロ野球では毎年のように、メジャーリーグで経験豊富な「大物助っ人」の来日が話題になります。しかし助っ人外国人として活躍した選手の歴代記録を見ると、メジャー経験があまりない選手がほとんどです。世界のホームラン王と呼ばれた王貞治のシーズン本塁打記録を破ったバレンティンも、そのひとりです。

長年、日本プロ野球の金字塔であった王貞治のシーズン55本塁打が達成されたのは1964年。バレンティンはそれをおよそ半世紀ぶりに塗り替えました。2001年にタフィ・ローズがシーズン55本塁打で王に並んだ際には、相手チームの投手陣が新記録を阻むかのように勝負を避け、問題になったこともあっただけに、様々なプレッシャーを乗り越えた快挙といえます。

オランダ領キュラソー島という、わずか人口14万人の小さな島の出身ですが、楽天イーグルスの日本一に貢献したAJことアンドリュー・ジョーンズや、ゴールドグラブ賞4回のアンドレルトン・シモンズなど、多くの好選手を輩出している島です。

今回はシーズン60本塁打の記録を打ち立てた、小さな島が生んだ天才ホームラン王、ウラディミール・バレンティンの伝説エピソードから人生哲学にまで迫ります。

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ウラディミール・バレンティンについて

まずはバレンティンの経歴を追ってみます。

1984年7月2日生まれ、オランダ王国アンティル自治領キュラソー島出身。2000年にシアトルマリナーズと契約。マイナーリーグに所属していた2004年にアテネオリンピックのオランダ代表に選ばれます。

2007年の終盤にメジャーリーグへ初昇格。わずか3試合出場ながらも初本塁打を記録します。翌2008年には7本塁打を放ちます。2009年途中でトレードでシンシナティレッズに移籍しましたが、2010年にはメジャー出場がないままに終わります。

2010年オフにヤクルトスワローズと契約。2011年、31本塁打を放ち、本塁打王を獲得しましたが、打率は規定打席到達者最下位という史上3人目の珍記録を残しました。2012年にはケガのため規定打席に達しませんでしたが、本塁打王を獲得。これはプロ野球史上初となる記録で、2年続けて非常に珍しい記録を打ち立てました。

2013年、WBCのオランダ代表に選出。更にシーズンでは驚異の打撃を見せ、王貞治とタフィ・ローズの記録を抜き、シーズン60本塁打の日本プロ野球記録を達成し、見事MVPに輝きます。

2014年にも31本塁打を放ち、4年連続で30本塁打以上を記録しますが、2015年はケガのため、わずか15試合出場に終わりました。しかし2016年には復活を遂げ、2019年まで4年連続30本塁打以上の数字を残しました。

2019年オフに国内FA権を取得しましたが、スワローズとは交渉がまとまらず自由契約となり、福岡ソフトバンクホークスと契約。2020年は残念ながら不調に終わりました。

2020年終了時点で、メジャーリーグ通算3年間で113安打、15本塁打、打率.221。日本プロ野球通算10年間で991安打、297本塁打、打率.268。MVP1回、本塁打王3回、打点王1回、ベストナイン2回。

FA権を得たことで、外国人枠から外れ、出場の機会が増えているだけに、まだまだ活躍を期待したいところです。

 

私が選ぶ、バレンティンの凄さがわかる名言・語録集

【名言語録その1】

「ホームランを打つ能力は、神が僕に与えてくれた特別なもの」

本塁打率という指標があります。打数÷本塁打数で割り出すもので、1本の本塁打を放つのに何打席を必要とするか、という数字です。つまりこの数字が少ないほど、本塁打が出やすい打者だと言えます。

歴代のシーズン記録を紐解くと、10位までの中に王貞治が6回も入っています。王がいかにコンスタントに本塁打を放っていたのかがわかります。他にランクインしているのは1977年のチャーリー・マニエル、1986年の落合博満、2002年のアレックス・カブレラ、そして堂々歴代1位となるのが2013年のバレンティンです。この時のバレンティンの本塁打率は7.32であり、2位の1974年王貞治の7.86と並んで、本塁打率8を割ったのは歴代この2人だけです。

現在は様々なデータやフィジカルに関する分析も進み、メジャーリーグで起きたフライボール革命もあって、訓練しだいでどの選手でもホームランが狙えるようにはなりました。しかしその対策として投手側も高めのボールをうまく使うようになり、三振が増え、2018年シーズンにはメジャーリーグ史上初めてシーズンの三振数が安打数を上回りました。

マネーボールからフライボールへというようにトレンドは変りますが、そんな流れとは関係なく、ホームランを打つコツみたいなものを知っている打者が間違いなく存在します。まさに神様からのギフトというべきものです。

バレンティンはそんなギフトを神様からもらった存在だといえます。しかしそんなギフトを得て、期待されながらプロ入りする選手の多くが、大成しないまま引退するのがプロの世界です。そんな中でシーズン60本本塁打のように結果を出す、そこに導かれる努力や運こそが本当のギフトなのでしょう。

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【名言語録その2】

「スワローズのファンがいるライトスタンドに打ててうれしかった」

2013年9月11日、スワローズのホームである神宮球場で、バレンティンは日本プロ野球タイ記録となる55号ホームランをライトスタンドに放ちました。2001年にタフィー・ローズが王貞治に並ぶ55号本塁打を記録した直後の2試合はほぼ勝負を避けられ、王の記録に忖度したからではないかと問題になりました。

しかしバレンティンが55号を放った後、ローズと同様の光景は見られませんでした。それは日本の球界にとっても良かったと思います。それはスワローズのファンをはじめとする野球ファンの声と、自身の記録にこだわらないと公言した王の思いを反映した結果なのでしょう。その意味でバレンティンの日本記録はファンが打たせたという面もあると感じます。

メジャーでは成功せず、日本で結果を残したバレンティンですが、それについてシアトルマリナーズでバレンティンとチームメイトだったことのあるイチローは「同じチームメイトだった選手が活躍するのはうれしいです。ただアメリカであのクラスの選手が日本でそれだけ活躍するというのは、少し難しいというか、複雑な部分もありますね」とコメントしました。

この発言だけでイチローは差別的だと批判する人もいましたが、イチローは他にも以下の言葉を残しています。

「日本ではカウント3-1とか2-0のバッティングカウントでも変化球でストライクを取りに来る。そこで『何だ、日本の野球は』と思う人は絶対に前に進めない。バレンティンの場合はちゃんとそれを受け入れて、そういう野球があるということを理解してプレイしていたのではないか。そこは技術とは関係ない性格によるものだろう。ある段階から先に進めるかどうかは、それを持っているかどうかで大きくわかれるのではないか」

つまりイチローはアメリカで成功しなかった選手が、どのようにして日本で成功したのか、そこを分析すると「少し難しい」「複雑な部分」があると説明したかったのだと思います。

 

「メジャーでプレイしていた時は、まだいろいろな部分で成長しきれていませんでした。私が思うに、対応力を上げていくには、毎日プレイする必要があると思うんです」

バレンティンは自身の成長についてそう説明しています。その説明にはイチローの理解と重なるところがあるように思います。

イチローの名言・語録全集!成功哲学や自分をコントロールするメンタルの鍛え方とは?

【名言語録その3】

「Money don’t buy happiness」

2020年シーズンから福岡ソフトバンクホークスに移籍したバレンティンですが、自身のインスタグラムにスワローズ時代のユニフォーム姿と共に、上記の言葉を載せました。「幸せは金で買えない」という意味だけに、いろいろと物議を呼びましたが、本人は翌日「野球とは関係ありません」とコメントしています。

バレンティンのプレーぶりについては、時に全力疾走をしないとか、時に怠慢プレーがあるといった批判もありました。あたたかいカリブ海沿岸のゆったりとした国民性のためか、その辺りの出身者の中には、勤勉な日本人から見ると気分にムラがあるように感じられるのかもしれません。

55号を放った後もチームメイトの宮本慎也は「これからは人間性を磨いて欲しいですね。来年からはホームランを打つ以外のこともしっかりやってほしい」とコメントしています。

厳しいコメントにも感じますが、見込みの無い者に期待するほど、プロの世界は優しくありません。自分にも後輩にも厳しい人物として知られている宮本だけに、バレンティンにもうひと回り大きな可能性を求めての言葉でしょう。

国内FA権を取得して外国人枠から外れたバレンティンだけに、野球では「金では買えない」思い出を、ファンにプレゼントしてくれることを期待しましょう。

 

名言からの学び

・結果こそが最高のギフトである。

・対応力が成長の鍵となる。

・金では買えないものもある。

 

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