牧田和久の凄さが分かる名言・語録集!メジャーから復帰したアンダースロー名投手の伝説エピソードから努力論まで
一時は球界から姿を消すかと思われたアンダースロー。しかし高橋礼のように、結果を残す若手アンダースローが登場してきました。そんな中、メジャーリーグでも登板を果たし、日本球界に復帰したベテランアンダースローが牧田和久です。
かつてアンダースローといえば、284勝をあげた山田久志、投手五冠王を獲得した杉浦忠、日本シリーズ通算9勝の足立光宏、アンダースローで初の200勝投手の皆川睦雄、弱小球団で通算193勝の秋山登などの他、大友工、松沼博久、渡辺俊介など、記録や記憶に残る名投手がたくさんいました。
定期的に行われていた日米野球では、一流のメジャーリーガーたちも、地を這うようなアンダースローに苦戦しており、今でも国際試合になるとアンダースローが注目され、牧田も数々の国際試合に日本代表として召集されて活躍しました。
今回は2020年シーズンにメジャーから復帰した牧田和久の凄さが分かる名言や語録を紐解き、アンダースロー名投手の伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
牧田和久について
まずは牧田和久の経歴を追ってみます。
1984年11月10日生まれ、静岡県焼津市生まれ。静清高校1年生の時にアンダースロー投手となり、平成国際大学に進学し、エースとして活躍。日米大学野球選手権にも日本代表として出場。卒業後は日本通運に入社。都市対抗野球で好投し、2010年のドラフトで埼玉西武ライオンズに2位指名を受けて入団します。
ルーキーイヤーから開幕1軍入りを果たし、5月には新人一番乗りで完封勝利をあげ、途中からクローザーに指名されて22セーブを記録。新人王に輝きます。2012年は先発に戻り、二桁勝利をあげ、WBC日本代表にも選出されます。
2013年は先発ローテーションを守り、防御率2.60と好投するも勝ち星に恵まれず、翌2014年もなかなか勝ち運がない状況が続きますが、オフに開催された日米野球ではノーヒットノーランを記録し、国際試合ではアンダースローが活躍するというのを見せつけます。
2015年には開幕投手を務め、チーム事情のため、先発から抑えまで黙々と投げ続け、2016年、続く2017年と中継ぎとしてロングリリーフも可能な場面を選ばずに活躍するタフな投手として重用されます。
2017年オフにはポスティング制度を利用してメジャーリーグへ移籍。
2018年、サンディエゴパドレスと契約を果たします。しかしメジャーではなかなか活躍の場が与えられず、2020年に日本復帰を表明、東北楽天ゴールデンイーグルスと契約しました。
2019年シーズン終了までで、日本プロ野球通算7年間で53勝、25セーブ、54ホールド、防御率2.83。新人王。メジャーリーグ通算2年で2ホールド、防御率5.40。
私が選ぶ、牧田和久の凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「僕はストレートで勝負できるピッチャーだと思っています」
今は希少となったアンダースローですが、日本プロ野球史上、100勝以上をあげたアンダースロー投手は16人もいます。
アンダースローというと技巧派というイメージですが、286勝をあげた山田久志は浮き上がるような速球を武器のひとつにしていました。
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手首を立てるか立てないか、アンダースローではそれがポイントのひとつとなります。速球派の山田はリリースの時に手首を立て、技巧派の秋山登は立てません。牧田は山田と同様に手首を立てた投球をしています。
高校1年生の時にアンダースローで投げてみたところ、身体や腰の回転がスムーズだったことからアンダースローに転向したという牧田。彼のまっすぐは打者目線で見ると、膝の高さだと思ったボールが、打ちに行くと顔のあたりを通過する感じなのだそうです。
「もともと自分の力じゃ、トップには立てないと思っていた。でも自分しか持ってないものもあると気づいた」
プロであれ、トップになれるのはほんの一握りです。しかし自分だけの強力な武器があれば、勝負はできます。
自分が使いこなせる特別な武器を手に入れ、それを磨き上げることで、牧田は世界最高峰のメジャーリーグにまで挑戦することができたのです。
【名言語録その2】
「自分を貫いたということが、自分が一番誇れることです」
ライオンズ時代、投手力が弱いというチーム事情から、先発はもちろん、ショートリリーフ、ロングリリーフ、クローザーと、あらゆる場面で登板し、結果を残した牧田。
それは調整が難しい中で、すごい調整力と適応力であり、記録には残りませんが、本当に素晴らしい活躍だと思います。
そんなころころと役割が変わる中でも、牧田は「どの場面で投げるときも、自分のピッチングスタイルを変えることはありませんでした」と話し、そうやって「自分を貫いた」ことをもっとも誇りにしているのだそうです。
普通ならば役割が変われば、いろいろと変えたくなるところですが、牧田はあえてそうはせず、自分らしい投球をすることを貫きました。それは自分の武器が何なのかをよく知っているということでもあります。状況がどう変化しようとも、自分ができる最良の方法に変化はないのです。
ライオンズの投手コーチだった石井貴は牧田について「まるで投げる前に打たれることを察知しているみたいだね。打たれそうだと思うと、すっと抜いたり、わざと外したり、ホント、あの人だけはわからない」と語っています。
捉えどころがないのは、しっかりとブレない自分を持っているからなのでしょう。
それがどんな場面でも動じない力になっているのだと思います。
【名言語録その3】
「壁にぶち当ったら、また新たな武器を見つけてどんどん成長していきたいですね」
牧田がメジャー挑戦の時に語った言葉です。社会人時代にひざの靭帯を切り、移植手術をして1年間リハビリをするしかなかった辛い時期に、彼は外から冷静に野球を観察していました。
「喜怒哀楽の激しい投手は自滅しやすいんですよ」
観察の結果、イライラしやすい投手はコントロールを乱しやすいと気がつき、治ったら「自分は何があっても表情に出さない投手になろう」と考えたそうです。
投手生命の危機でも常に観察し考えるのをやめなかったのは、ポジティブというよりも克己心と呼ぶべきでしょう。
投球術もバッティングピッチャーをしていたときに、微妙にテンポをずらして投げ、打者の反応をみて、試合でも試しながら磨いた牧田。
メジャー挑戦の次は、再び日本で新たな武器を引っ提げて、活躍してくれるだろうと期待しています。
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名言からの学び
・戦うにはまず自分の武器を手に入れる。
・ブレない自分が不動心を作る。
・観察と挑戦が新たな武器になる。
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