バリー・ボンズの凄さが分かる名言・語録集!天才ホームラン王の伝説エピソードから努力論まで
世界一のホームランバッターは誰かという問いは、なかなかの難問です。868本塁打を放った王貞治だという意見もあれば、数でいったら二グロリーグで活躍したジョシュ・ギブソンだという意見もあるでしょう。そして多くのアメリカ人はメジャー記録がナンバーワンだと主張するはずです。そのメジャー最多本塁打762本を記録したのはバリー・ボンズです。
バリー・ボンズはシーズン73本塁打、13年連続30本塁打以上、通算四球数に敬遠数、MVP7回など、数々のメジャー記録を保持するホームランバッターです。しかも若い頃は俊足であり、通産514盗塁を記録し、守備も上手くてゴールドグラブ賞を8回も受賞しています。
史上最も偉大な選手とも言われるバリー・ボンズですが、2013年に野球殿堂入りの資格を得たのにも関わらず、2019年の投票でも選出されないのは、彼が一時期、筋肉増強剤のアナボリックステロイドなどの薬物を使用していたためです。しかし、それでもその技術や能力についての評価は高いものがあり、現在も論議の的になっています。
今回はメジャー最多本塁打記録を持つバリー・ボンズの凄さが分かる名言や語録を紐解き、天才ホームラン王の伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
バリー・ボンズについて
まずはバリー・ボンズの経歴を追ってみます。
1964年7月24日生まれ、アメリカ合衆国カリフォルニア州出身。高校時代には野球だけでなく、バスケットボールやアメリカンフットボールでも活躍します。1982年のドラフトでサンフランシスコ・ジャイアンツから2巡目指名を受けますが、条件が折り合わず、アリゾナ州立大学へ進学。1985年のドラフト1巡目でピッツバーグ・パイレーツに指名されて入団します。
2年目にメジャーへ昇格し、俊足攻守の中距離ヒッターとして活躍し始めます。1990年頃から長打力が花開き、打率.301、本塁打33本、52盗塁という驚異的な成績を残し、MVPを獲得。1992年にも打率.311、本塁打34本、39盗塁とMVPに輝く活躍を見せます。オフにフリーエージェントとなり、サンフランシスコ・ジャイアンツと契約します。
1993年に46本塁打を放ち、最多本塁打と最多打点の二冠を獲得。2年連続でMVPとなります。
1996年には史上4人目の300本塁打300盗塁を達成し、史上2人目のシーズン40本塁打40盗塁も記録します。1998年は史上初となる400本塁打400盗塁を達成し、2001年には通算500本塁打に到達。メジャー記録となるシーズン73本塁打を放ち、4度めのMVPを獲得します。2002年に首位打者、2003年は500盗塁に達し、500本塁打500盗塁という前人未踏の世界に入ります。
2006年にベーブ・ルースの714本塁打を越え、2007年にはハンク・アーロンの持つメジャーリーグ記録755本塁打を抜いて、史上1位となります。しかしそのオフには力の衰えと、薬物使用問題からジャイアンツは契約をせず、事実上引退となりました。
現役通算22年間で、2935安打、762本塁打、514盗塁、打率.298。史上1位となる2558四球、うちやはり史上1位の敬遠688。MVP7回、本塁打王2回、首位打者2回、打点王1回、ゴールドグラブ賞8回。13年連続30本塁打以上、ナショナルリーグ月間MVP13回、シーズン出塁率.609など、その他にも数々のメジャー記録を残し、ジャイアンツ時代の背番号25は永久欠番となりました。
私が選ぶ、バリー・ボンズの凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「野球は一種のアートだと思うんだ」
5ツールプレーヤーと呼ばれる「打率」「長打」「走力」「守備」「送球」のすべてに秀でたプレーヤーがバリー・ボンズです。父親であるボビー・ボンズもメジャーリーグで300本塁打300盗塁を記録した名選手で、「ミスターオクトーバー」こと563本塁打228盗塁のレジー・ジャクソンは従兄になります。
まさに野球エリート一家であり、野球の一流人たちです。野球が一種のアートだとすれば、ボンズは一流アーチストなのだということでしょう。和製英語で「ホームランアーチスト」という言葉もありますし、鍛錬を積んだ選手のプレーは芸術的です。
artの語源はラテン語のarsで、ギリシャ語のtechneの訳語です。techneは英語の「テクニック」の語源ですから、「アート」は優れた技術でもあるわけです。
優れた技術の結晶を見せてもらえるのはファンとして、喜ばしい限りですが、筋肉増強剤のようなもので「アート」を台無しにしかけたことは残念です。
【名言語録その2】
「これは永遠の記録じゃないさ。誰かがその上を行っても驚かない。記録とはそういうものだからね」
記録は破られるためにある、といいますが、メジャーリーグのファンにとって、ピート・ローズの安打記録とボンズの本塁打記録には苦いものを感じます。
ローズは野球賭博により、メジャーから永久追放となっていますし、ボンズは筋肉増強剤の使用による参考記録だとすべきという論議もあります。
ボンズは非合法の筋肉増強剤をバルコ社から供与され、それを使用したとアメリカの大陪審で証言しています。自主的ではなく、トレーナーの指導によって摂取したものが、結果として禁止薬物だったと反論していますが、なかなか苦しい言い訳です。
ボンズはすでに殿堂入りの資格を得ており、本人もかつて「それは疑いの余地はないだろう」と語っていたましたが、同じく筋肉増強剤を使用したサイ・ヤング賞を最多の7回受賞し、通算354勝をあげたロジャー・クレメンスと共に、いまだ殿堂入りはしていません。
もっとも野球殿堂には、「最高の技術と最低の人格」と呼ばれ、強烈な黒人差別主義者のタイ・カッブや、不正投球を繰り返していたゲイロード・ペリー、マリファナの密輸で有罪となったオーランド・セペタなども入っているので、野球の記録と人格や生活行動は別物なのかもしれません。
人は時に間違いを犯します。それをどこまで許容し、どこまで除外するのか、難しい問題です。記録同様にいつか上書きされる日がくるのでしょうか。
【名言語録その3】
「最近の選手はVTRばかり見過ぎだ。ポイントを絞ってそこだけをチェックしろ。自分がいいと思った打席での感覚をもっと大事にすべきだ」
イチローは2016年フロリダ・マーリンズに在籍していた時、臨時コーチとして参加していたボンズと接しています。イチローは彼について「選手の特徴をつかむのが早い。天才肌ですよ」と語っています。
野球を数理統計的に解析した「ザ・ナンバーズ・ゲーム」の著者であるアラン・シュワルツは、統計的技法を使って、もしボンズが筋肉増強剤を使用していなかった場合、生涯の本塁打数を561本と推測しています。
それを証明する方法はありませんが、561本でもメジャー史上15位に相当し、素晴らしい記録であることは疑いようがありません。それだけの技術を身に着けるには、才能はもちろん、相当な努力があったはずです。その点についてボンズはあまり語りませんが、筋肉増強剤で飛距離や打球速度は上がっても、バットコントロールは努力でしか向上しません。
筋肉増強剤の話ばかりで、なかなかボンズの技術や努力に目が向かないのは、ある意味で自業自得ですし、やむを得ないことでしょう。ただ、だからといって無視してしまえるほど 762本のホームランの価値は小さくありません。
私もボンズの全盛期にサンフランシスコへ行った時、ジャイアンツの試合を見ようと思ったのですがまったくチケットが手に入らず、やむなく隣町のオークランドでアスレチックスの試合を見たことがあります。
アスレチックスにもマーク・マクガイアやホセ・カンセコがいた頃ですが、チームの人気は圧倒的にジャイアンツであり、ヒーローはボンズでした。
ボンズだけでなく、クレメンスや、今後やはり殿堂入りの資格を得た際には、アレックス・ロドリゲスについても筋肉増強剤で問題になるでしょう。才能や努力との線引きは今後も難しい課題として残りそうです。
マクファーレントイズ MLB バリー・ボンズ 756号記念限定
名言からの学び
・アートは技術である。
・記録はいつか破られるが、過ちは永遠に語られる。
・才能と努力は結果でしか証明できない。結果が歪められれば証明は難しい。
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