周東佑京の凄さが分かる名言・語録集!足の速さだけで日本代表に選出される男の伝説エピソードから努力論まで
野球は投げる、打つ、守る、走るという、それぞれの要素が求められる競技です。しかしここぞという時にひとつの役割を求められるスペシャリストもいます。
例えば代走もそのひとつですが、盗塁を狙うとわかりきった場面で、しかも早いカウントでの成功を求めらる場面もあり、そんな状況で成功させるのは至難の業です。それをやってのけるスピードスターが、プレミア12に代走で登場し、大会最多の4盗塁を決めた、周東佑京です。
50メートルを5.7秒というプロ野球でもトップレベルの走力は、四球やシングルヒットで出塁を許しても、盗塁で二塁打と同じになってしまう脅威を相手に与え、チャンスメイクの際には強力な武器になります。その武器で育成選手から、あっという間に日本代表にまで上り詰めた周東の足は速さはまさに韋駄天です。
とはいえ盗塁は走力だけで決まるものではありません。かつて100メートル走の日本記録を打ち立てた陸上選手の飯島秀雄が、プロ野球の世界に代走として入った事があります。しかし日本一速いランナーでも3年間でわずか23盗塁に終わりました。単純に足が速いだけで盗塁はできないという証明でもあり、走塁には技術が必要であることを教えてくれます。
今回は野球選手としての完成度よりも、脅威の走力を買われ、足の速さを武器に日本代表にも選出された周東佑京の凄さが分かる名言や語録を紐解き、その伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
周東佑京について
まずは周東佑京の経歴を追ってみます。
1996年2月10日生まれ、群馬県太田市出身。東京農業大学第二高校では、高校3年の時に群馬大会で決勝まで進みますが、惜しくも破れて甲子園出場は逃します。卒業後は東京農業大学に進学。ユーティリティープレーヤーとしてさまざまなポジションを守りながらも、レギュラーとして活躍し、全日本大学野球選手権や明治神宮大会でもプレーし、好成績を残しています。
2017年のドラフトで福岡ソフトバンクホークスから育成2位の指名を受け、入団します。ルーキーイヤーはフレッシュオールスターで優秀選手賞に選ばれ、ウエスタンリーグの盗塁王にも輝きます。またU23ワールドカップの日本代表にも選出されました。
2019年の開幕直前に支配下選手登録され、1軍に昇格。自慢の俊足ばかりでなく、ホームランも放つなど活躍。チームトップとなる25盗塁を決め、成功率83.3%を記録します。オフのプレミア12では韋駄天ぶりを評価されて日本代表に選出。大会最多となる4盗塁を決めました。
2019年シーズン終了時点で、プロ通算2年(支配下登録1年)で通算20安打、1本塁打、25盗塁、打率.196。
代走ばかりでなく、内外野を守れるユーティリティープレーヤー、そしてレギュラー獲得を目指して、より活躍が期待される選手です。
私が選ぶ、周東佑京の凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「僕は大卒だから時間がないんです」
ホークスは千賀滉大や甲斐拓也をはじめ、牧原大成、釜元豪、大竹耕太郎など、育成選手から活躍する選手を多く輩出しています。それは育成にもチャンスがある一方で、選手層の厚さゆえに、激しい競争の上に成り立っています。
プロ入り2年目で順調に支配下選手登録となり、日本代表にも選ばれた周東ですが、大学卒の育成契約であり、入団当初から焦りを感じていたようです。
周東は大学時代、東京農業大学の北海道オホーツクキャンパスで野球をしていました。キャンパスのある網走市は、寒い北海道の中でも更に北の地にある町です。地元の支援でオホーツクドームなど設備も整い、1989年の開学からこれまでに14名のプロ選手を輩出しているとはいえ、有名大学ほどの環境とは言えません。
大学の監督だった桶腰勉によると、周東は「自分の持っている力、資質に気づいていなかった」のだそうです。監督は彼の才能を見抜き、当初から「プロを目指せ」と言い続けました。そして俊足選手にありがちな内野ゴロの走り打ちでセーフになろうとする傾向も改善させました。
環境の面でも、意識の面でも、出遅れ感があった周東は、プロ入りしてからその俊足ぶりと同様に、凄まじいスビートで貪欲に成長しました。そして「自分のいいところを伸ばそう」と走塁に磨きをかけ、支配下登録を勝ち取りました。しかし周東はまだまだ貪欲です。
「1軍でもできる部分というのは自分の中でわかりましたが、できる部分よりも自分に足りない部分の方が多く見つかったと思うからです」
まずは自分のいいところを伸ばして頭角を現し、ここからは更に自分に足りないものに取り組んでいこうとする姿勢は、良い意味での焦燥感が力になっているのだと思います。
【名言語録その2】
「かわせると思った」
周東の名前を一躍知らしめたのは、プレミア12日本代表へのサプライズ選出でした。パリーグをよく見る野球ファンならば、盗塁だとわかっていてもセーフになる周東の走力を知っていたでしょうが、セリーグのファンだと名前も知らなかったのではないでしょうか。
その周東が走力を見せつけたのが、スーパーラウンド初戦のオーストラリア戦でした。1点ビハインドの7回裏、代走で出た周東が2盗、3盗を決め、源田壮亮がスクイズを成功させたシーンです。
この場面は2アウトからのセーフティースクイズでしたから、相手投手が落ち着いて1塁に投げていれば俊足の源田とはいえ1塁アウトのタイミングです。しかし反応良く飛び出した周東が視線に入ったため、投手はつい目の前の周東にタッチしようとしてしまい、うまくかわされてしまって、得点となりました。周東によれば「かわせると思った」のだそうです。
素晴らしいプレーでしたが、日本の監督だった稲葉篤紀が絶賛したのは、その前の3盗でした。いわゆるサインはなく、走れるならば走れというグリーンライトで、2盗のみならず3盗を決め、更には源田のセーフティースクイズもノーサインで、瞬時に反応した周東。
こうした瞬間のプレーには、経験よりもセンスがものをいいます。身体を瞬時にコントロールする能力には、周東の非凡さを感じると共に、思い切って彼を選出した稲葉監督への恩返しにも思えます。
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【名言語録その3】
「僕、グラシアルになりたいんですよね」
グラシアルは2019年にホークスで打率.329、28本塁打を記録した強打者です。周東いわく「僕と正反対」の選手です。
「長打力もあって、勝負強くて、率も残して、守備だって内野も外野も守れる。選手としてホント素晴らしいですよね。ああいう選手がチームにいれば、監督だって使いたくなると思いますし、安心感がある。たしかに代走として試合に出られることはうれしいですけど、そこに満足せず、もっと上を目指していきたいと思います」
普通ならば、更に走力を磨いて、機動力のあるタイプを目指しそうなものですが、「足りないものをしっかりと」と言う周東は、あくまでも野球選手としての理想を追求しているようです。
他のチームならばもっと出場の機会を得られるのは間違いない周東ですが、選手層の厚いホークスでレギュラーを奪い取り、走塁のうまいだけの選手ではなく、常時出場できる安心感のあるプロ野球選手として活躍する日が見られるかもしれません。
ソフトバンク ホークス 刺しゅうワッペン 周東 サイン [BK] 周東佑京
名言からの学び
・焦燥感は成長の栄養になり得る。
・才能を開花させるには、その人の適した舞台がある。
・現状に満足しない心が成長につながる。
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