斎藤雅樹の凄さが分かる名言・語録集!天才サイドスロー投手の伝説エピソードから人生哲学まで
その全盛期に名将野村監督が「あれこそピッチングの芸術」と絶賛し、投手にとって最高の栄誉である沢村賞を3度したサイドスローナンバーワン投手の斎藤雅樹。
沢村賞を3度受賞している投手は他に3人いますが、いずれもセリーグの投手だけを対象にしていた時代であり、セパ両リーグから選出されるようになってからは、斎藤雅樹投手ただひとりだけです。
読売ジャイアンツで18年間プレーし、エースとして5度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献。通算180勝、通算防御率2.77という素晴らしい成績を残し、最多勝5回、年間最多完封7回、11連続完投勝利といった数々の日本記録を作っています。
今回は斎藤雅樹の凄さが分かる名言や語録から、天才サイドスロー投手の伝説エピソードから人生哲学までを探ります。
斎藤雅樹について
まずは斎藤雅樹氏の経歴を追ってみます。
1965年2月18日生まれ、埼玉県川口市出身。川口市立川口高校で甲子園出場の経験はないものの読売ジャイアンツがドラフト1位指名。
当時の須藤豊コーチが「バッティングはパワフルだし、守備での足の運びは内野手向き。1年間俺に預けてくれたら、すぐにでもレギュラーにする自信がある」と太鼓判を押しますが、藤田元司監督の助言でオーバースローからサイドスローに転向。1985年にはローテーション入りを果たします。
しかし王貞治監督下では力が出せずに、先発失格を言い渡されますが、再び藤田監督が復帰すると二年連続20勝をあげ、チームはリーグ連覇。エースとして大車輪の活躍を見せます。
通算18年の現役生活で二桁以上の勝利が9回、あらゆるタイトルを総なめにします。
沢村賞3回、最多勝5回は史上最多。MVP1回、最優秀防御率3回、最多奪三振1回、ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞4回などの他、前出の日本記録を作っています。
気弱で、ノミの心臓などと言われながらも、勝てる投手として、通算2000イニング以上投球した投手の中で史上3位の勝率を誇りました。
2001年シーズンで引退しますが、ジャイアンツの投手コーチや二軍監督などを務めています。
私が選ぶ、斎藤雅樹の凄さがわかる名言・語録集
名言語録その1
「困ったら腕を振ることだけを考えた」
2年目に12勝はあげたものの、その後はなかなかうまくいかず、斎藤氏いわく「もう使ってもらえないんじゃないかとオドオドしていた」とのこと。
その背中を押してくれたのが藤田元司監督でした。「斎藤が自信をもったらすごい投手になる」と言い、オーバースローからサイドスローに変えるようアドバイスします。
「マウンドに上がるのが怖い」そう言っていた斎藤氏は、とにかく腕を振って投げることだけを心掛けたそうです。
「思い切って腕を振って真っ直ぐを投げると、だいたい外角にボールがいくんです。そうすると空振りを取れるか、悪くてもファウルでカウントを稼げた」
藤田監督の信頼と的確な指導が、後にチームを背負うエースとなる男の才能の花を開かせたのです。
肩甲骨を寄せると筋肉が羽のように見えたというほど柔軟で強靭な背筋を持っていた斎藤氏。それを生かすも殺すも、指導者次第だったと考えると、やはり天才の陰には努力と理解者が必要なのだと感じます。
名言語録その2
「どうしちゃったんでしょうね」
現役時代、口数が少なく、インタビュアー泣かせと言われていた斎藤氏。
1989年に11連続完投勝利をあげても「どうしちゃったんでしょうね」と答えるだけ。
それ以前の試合でも同じことを言い、ある新聞にはそれを揶揄するような見出しを書かれたそうです。
しかしコーチになってからは、それなりに話をしてくれています。
無口なのは本当なのでしょうが、現役時代は手の内を明かしたくないということもあるのではないでしょうか。
大久保博元がジャイアンツに移籍してきた時、捕手としていくらシュートのサインを出しても投げてくれないので、投げてくれと直訴したそうです。
すると斎藤氏は笑って「サイン通りに投げてやるから」と答え、その通りにしたそうです。
それはもちろん意地悪などではなく、斎藤氏なりに意図があったのでしょう。
たとえばパリークから来た新入り捕手に、打者の特徴がわかりやすいよう真っ直ぐを中心に投げてみせたとか、相手打者によってはシュートがなくても抑えられるから、わざわざその球を見せることはないとか、そんな理由かもしれません。
福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督が、かつて斎藤氏について「彼のすごいところは、あれだけの完投数を誇りながら、98敗しかしてないこと」と話しています。
工藤公康の凄さが分かる名言・語録集!努力の天才の人生哲学やリーダーシップ論とは
そんな負けない投手が本気で「どうしちゃったんでしょうね」と思っている筈はない、と思います。時にプロは語られないことに意味があるのです。
名言語録その3
「経験して、成功体験をして、はじめて本当の自信になると思っている。場を与えるだけじゃ成長しない。場を与えて、いい結果を出させて、初めて効果が出る。負けて覚えるより成功体験が一番だと思う」
コーチになってからの言葉です。
自身が藤田監督にそうやって成長させてもらったように、斎藤氏は指導者として何よりも成功体験を重視しています。
「プロとして入ってきた良さは絶対あるはずだから、最初からダメだというのではなくて、やらせてみて、あまりにも結果が出ない、となった時に初めて動くべきだと思う。その期間は個人差がある。1年の人もいれば、数年の人もいるだろう」
サイドスロー転向による成功体験が下敷きになっているのか、斎藤氏の育成理念に先入観はないようです。
113完投し、歴代16位の通算40完封というのは、完投すら減った現在、素晴らしい記録です。しかも戦略上投手には代打が出されやすいセリーグですから驚きです。
当時のジャイアンツには鹿取義隆という素晴らしいリリーフエースがいましたが、それよりも斎藤氏の続投がファーストチョイスだったわけです。
そこまで信頼されるエースとしての体験から、きっとよいコーチとして後進を育てることでしょう。
名言からの学び
・天才を育てるには、本人の努力はもちろんだが、良き理解者が的確な指導をする必要がある。
・プロには、時に語られなくても意味のあることが存在する。
・人の成長には、何よりも成功体験を積ませることが必要である。
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