ランニングホームランの歴代記録達成者一覧まとめ!最多選手やメジャー記録も合わせてチェック!
「野球の華」といえば、見ている人を興奮させるホームラン。大きな弧を描いてスタンドに飛び込む打球に観客は魅了されます。そんなホームランの中でも、スタンドに入ることのないホームランが存在します。それは「ランニングホームラン」です。
俊足を飛ばしてホームまで駆け回ることや相手守備陣の綻びにつけ込み生還するなどスタンドインのホームランとはまた違った魅力があります。特にホーム上でクロスプレーになりそうなタイミングで三塁ベースを回る選手の姿を見ると、陸上の4×100mリレー最終走者の直線勝負に似たドキドキ感を覚えます。
今回はそんなランニングホームランの歴代記録達成者や最多選手に加え、メジャー記録についてもご紹介します。
目次
ランニングホームランの歴代達成者一覧まとめ!
まずは日本のプロ野球での達成者をまとめてみました。これはNPBの公式ホームページで現在閲覧が可能な2016年シーズン以降のまとめになります。
年度 | 日付 | 選手名 | 対戦投手 | 回 | 球場 |
2016 | 8月25日 | 茂木 栄五郎(楽天) | スアレス(ソフトバンク) | 9回一死 | ヤフオクドーム |
9月19日 | 茂木 栄五郎(楽天) | 多和田 真三郎(西武) | 7回二死 | 西武プリンスドーム | |
2017 | 8月1日 | 上本 博紀(阪神) | 中田 廉(広島) | 7回一死 | マツダスタジアム |
8月30日 | 高橋 周平(中日) | エスコバー(DeNA) | 7回一死 | ナゴヤドーム | |
9月14日 | 角中 勝也(ロッテ) | 有原 航平(日本ハム) | 1回二死 | 札幌ドーム | |
2018 | 6月14日 | 青木 宣親(ヤクルト) | 十亀 剣(西武) | 1回無死 | メットライフドーム |
9月27日 | 大山 悠輔(阪神) | ウィーランド(DeNA) | 5回二死 | 甲子園 | |
2019 | 6月29日 | 上林 誠知(ソフトバンク) | 石川 直也(日本ハム) | 9回二死 | 札幌ドーム |
日本のプロ野球の第1号本塁打は、1936年5月4日に大阪タイガースの藤井勇選手が甲子園球場で記録しましたが、スタンドインではなくランニングホームランでした。現在と比べて選手のトレーニング方法、ボールやバットといった道具が発達していなかったことから、スタンドインの本塁打はそれほど多くなく、ランニングホームランが高い割合を占めているのではないかと推測されています。
また、公式記録にはスタンドインのホームランとランニングホームランの区別はなく、戦前はメモが残されていないことも多かったため、ランニングホームランの総数自体はわかっていません。
上記の達成選手について、それぞれ見ていきましょう。
茂木 栄五郎選手(楽天)がルーキー時代に2本!
現代に話を移すと2016年は1,341本の本塁打が記録されていますが、ランニングホームランは2本であり、占める割合は0.15%に過ぎません。現代野球で滅多に出ないと言えるランニングホームランをこの年、ルーキーだった楽天の茂木栄五郎選手が2本とも記録しました。
上本博紀選手(阪神)
17年は3選手がそれぞれ1本ずつ記録しました。阪神の上本博紀選手は阪神の選手としては当時ルーキーだった坪井智哉選手が1998年7月4日に先頭打者で記録して以来19年ぶりの一打でした。
高橋周平選手(中日)
中日の高橋周平選手は球団としては2006年に神宮球場で福留孝介選手が記録して以来11年ぶり、そして開場21年目のナゴヤドームで初めて記録されたランニングホームランでした。
角中勝也選手(ロッテ)
ロッテの角中勝也選手は、左中間に抜けそうな当たりを一度はセンターの西川遥輝選手にキャッチされますが、西川選手が勢い余って転倒し、グラブからこぼれて転々とする間に本塁まで激走しました。
青木宣親選手(ヤクルト)
18年は、青木宣親選手が史上最高齢に加え9例目となる初回先頭打者で記録する快挙を達成しました。青木選手は4球目を打って記録しましたが、14年にはロッテの荻野貴司選手がプロ野球史上唯一の初回先頭打者初球本塁打を記録しています。
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大山悠輔選手(阪神)
俊足を武器にした選手が達成している中、あまり足が速い部類ではない選手も達成しています。同年9月に達成した阪神の大山悠輔選手が放った一打はセンターへの飛球。DeNAのセンターを守っていた乙坂智選手が前方にダイビングキャッチを試みてグラブに収めましたが、地面にワンバウンドしたかどうか微妙な捕球でした。乙坂選手はノーバウンドで捕球したと思い座り込んでいましたが、判定はワンバウンド捕球。その間に大山選手はダイヤモンドを一周する珍プレーでした。
上林誠知選手(ソフトバンク)
珍プレー繋がりでは、19年にソフトバンクの上林誠知選手の放った一打も異様な光景が広がっていました。レフトスタンドに着弾したと思われた打球がグラウンドに戻ってきて三塁塁審はインプレーの判定をするも、審判より近くで見ていたレフトとセンターの選手はスタンドインだと思っていたことから追うことはしませんでした。その間に上林選手は全力疾走でホームまで駆け回り、全力で走る打者と打球を処理しない守備陣、転々とする打球というあまり見られないプレーになりました。
一覧表には載っていませんが、ランニング満塁ホームランを記録した選手もいます。
47年の野口明選手(阪急)、50年の阪田清春選手(広島)、74年の弘田澄男選手(ロッテ)、77年のウィリー・デービス選手(中日)、89年の田辺徳雄選手(西武)、97年の高木大成選手(西武)、直近では99年に小久保裕紀選手(ダイエー)が記録していますが、最後の1本から20年近く経過していることに加えて長いプロ野球の歴史で7人しかいないことからレアな記録と言えます。
日本人の歴代最多は南海・近鉄の木塚忠助選手と中日・国鉄・近鉄の杉山悟選手!5回のランニングホームランを達成!
ランニングホームランの最多記録は、判明している限りでは2チームで活躍した木塚忠助選手と3チームで活躍した杉山悟選手の5回です。
木塚忠助選手(歴代最多ランニングホームラン記録保持者)
佐賀県出身のショートだった木塚選手は1948年に南海に入団すると1年目から俊足と強肩を武器に活躍し、2年目からは4年連続盗塁王に輝きました。50年には当時の日本記録となるシーズン78盗塁を記録しています。
ランニングホームランは54年に2本、しかも8月の1か月で2本を記録し、この記録は現在でも年間では先述した茂木選手や巨人で活躍した川相昌弘選手らと並び日本タイ記録、月間の本数では日本記録となっています。持ち味のスピードを生かしてダイヤモンドを駆け回っていた姿が想像できます。
杉山悟選手(歴代最多ランニングホームラン記録保持者)
杉山選手は木塚選手と同じく48年にプロ入りしました。愛知県豊田市の出身で、地元愛知の中日に入団しましたが、なんと軟式野球チームからの入団でした。
入団2年目には31本塁打を記録し、52年には本塁打王を獲得、通算でも209本塁打を記録し、スラッガーとして活躍しました。足は特別速いわけでもなく、加えて180cmを超える大柄な体にも関わらずランニングホームランの日本記録保持者であることは意外です。
ちなみにメジャーは?
メジャーの歴代最多はレッドソックス他のジェシー・バーケット選手!55回のランニングホームランを達成!
海の向こうのメジャーリーグでは、レッドソックス他4球団で活躍したジェシー・バーケット選手が55回も記録しています。ちなみにバーケット選手の生涯本塁打は75本であり、放ったホームランの73%がランニングホームランです。
バントヒットで安打を量産し、盗塁数も通算で389個を記録しており、俊足を生かしたプレースタイルだったことが想像できます。ランニングホームランの量産も自慢の俊足によってもたらされた大記録だったのではないでしょうか。
ちなみにイチロー選手に破られるまで、シーズン220安打以上4回、連続7シーズン安打1526本のメジャーリーグ記録保持者でもありました。
ランニングホームランに関する豆知識情報
ランニングホームランという表現は和製英語であり、英語では「Inside the park home run」と表現します。2007年のメジャーリーグのオールスターゲームで、この言葉がテレビの実況から聞こえる一打が生まれました。
当時マリナーズに所属していたイチロー選手が放ったホームラン性のあたりはライトフェンスを直撃し、ライトの選手が予想した方向に跳ね返らずに転々としている間にイチロー選手はホームを駆け抜けました。
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この一打は1933年から開催されている歴史あるメジャーリーグのオールスターゲームで史上初のランニングホームランとなり、後にギネス記録に認定されました。
会場となったAT&Tパークのライト側はレンガ造りのフェンスが設置されているためクッションボールの軌道が変化しやすいことで知られており、球場の特性とイチロー選手の俊足がこの大記録を可能にしたと言えるでしょう。
ちなみに日本のオールスターゲームでは半田春夫選手(南海)、遠井吾郎選手(阪神)、藤原満選手(南海)、大友進選手(西武)の4選手がそれぞれ1本ずつランニングホームランを記録しています。
まとめ
・ランニングホームランの総数自体はわかっていないが、シーズンの総本塁打数に占める割合は少なく滅多に出ない。
・日本の最多記録は木塚忠助選手と杉山悟選手の5回である。
・メジャーの最多記録はジェシー・バーケット選手が記録している55回で、生涯本塁打の73%を占めています。
・イチロー選手は2007年のメジャーリーグのオールスターゲームで、史上初のランニングホームランを放ちギネス記録に認定されている。
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