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松永浩美の凄さが分かる名言・語録集!史上最高のスイッチヒッターの伝説エピソードから努力論まで

日本プロ野球で通算200本塁打以上を記録している選手は、これまでに115人(2024年9月現在)います。プロ野球選手の平均在籍年数はおよそ7年ですから、10年間活躍したとして年に20本程度の本塁打を放ったすれば、それは間違いなくチームの中心選手でしょう。スイッチヒッターでこの200本塁打に達しているのはわずかに2人。通算203本の最多記録を持っているのは松永浩美です。

スイッチヒッターとして日本記録の203本塁打、歴代3位となる1904安打、盗塁王も取り、ゴールデングラブ賞も4回獲得という、まさに走攻守すべてにおいて、万能の才能を見せた松永は、史上最高のスイッチヒッターと呼ばれています。

また彼が先頭となって提言したフリーエージェント(FA)制度の実現に尽力し、制度導入後には日本球界で初めてとなるFA移籍した選手としても知られています。

今回は史上最高のスイッチヒッターと呼ばれる松永浩美の凄さが分かる名言や語録を紐解き、その伝説エピソードから努力論にまで迫ります。

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松永浩美について

まずは松永浩美の経歴を追ってみます。

1960年9月27日生まれ、福岡県八幡市(現北九州市八幡東区)出身。小学生の頃はサッカーで活躍し、中学では軟式野球部、小倉工業高校に入学してから硬式野球を始めます。高校2年の時に阪急ブレーブス(現オリックスバファローズ)にスカウトされ、高校を中退し、ドラフト外で入団。しかし高校中退者のドラフト外入団は野球協約で禁止されているため、いったん球団職員として契約し、練習生として入団しました。

練習生として1年間過ごした後、1979年に支配下登録選手となります。生来の右打者としての欠点を修正するために左打ちを練習しましたが、そのスイングを見た広島カープの打撃コーチ山本一義が左打者への転向を、阪急のコーチ陣に勧め、1980年には松永と住友平コーチが話し合った結果、スイッチヒッター松永が誕生しました。

1981年、1軍デビューを果たし、翌1982年には三塁手の他に遊撃手も兼ね、規定打席にも達します。1983年には本塁打20本盗塁20を記録。チームの主軸となり、1984年に初のシーズン打率3割を越えます。1985年、盗塁王を獲得。1988年にはわずか1厘差で首位打者を逃し、1990年にも.0004差で首位打者に手が届きませんでした。1992年、自ら立ち上げた福祉基金に、球団から横槍が入り、土井正三監督との関係も悪化していた中、シーズン終了後に阪神タイガースへトレードとなりました。

1993年は故障もあり、期待されたほどの活躍は出来ず、彼の発言を曲解し誤解されるような報道もあって、シーズン後に日本プロ野球初となるFA権を行使し、福岡ダイエーホークス(現福岡ソフトバンクホークス)に移籍しました。ホークスでは勝負強いベテランとして貴重な戦力となり、プロ野球史上2人目となる全打順本塁打を達成するなどしましたが、1997年に自ら自由契約を申し入れます。その後、オークランド・アスレチックスでメジャーリーグに挑戦しますが、限界を感じ引退。

日本プロ野球通算19年で、1904安打、203本塁打、239盗塁、打率.293。盗塁王1回、ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞4回。全打順本塁打(史上2人目)、左右打席本塁打6回(史上2位)、3試合連続初回先頭打者本塁打(史上最長)、11打席連続四球(史上最長)。

引退後はBCリーグ、社会人チームなどで指導者として活躍しています。

 

私が選ぶ、松永浩美の凄さがわかる名言・語録集

【名言語録その1】

「繊細かつ大胆じゃないとプロ野球の世界では生きていけない。繊細なだけでも大胆なだけでもダメ。両面を持っていないと難しいんです」

当時の野球選手らしく、現役時代のちょい悪な噂もちらほら耳にしますし、無頼派というイメージの松永。チームミーティングにはほとんど参加しませんでしたが、それは相手投手の研究はすでに自分でやっておくのが当たり前で、「なぜスコアラーに聞かなければわからないんだ?」という強いプロ意識があったためです。

後のメジャーリーガー田口壮がプロ入りしたばかりの頃、一塁ランナーだった田口がヒットエンドランのサインを見落とし、福良良一が三遊間にゴロを転がしたものの、二塁でフォースアウトになりました。これにベンチにいた松永が激しく怒りました。「お前、今のミスがどういう意味をを持っているか、わかっとんのか。福良は3割打つバッターやけど、ヒット1本足りなくて3割を切ったらどうなる?それだけで何千万と年俸が違ってくるんやぞ」と。

また清原和博が阪急戦でデッドボールに怒り、マウンドににじり寄った時には、投手と清原の間に入り「当ったお前が悪いんだから一塁へ行け!文句をいうな」と清原を一喝。後に空港で顔を合わせた清原が理不尽だと食いかかってきた際、これまで頭部へのデッドボールで野球生命を断たれた選手を見てきていることを伝えた上で、「お前はパリーグだけでなく、球界のスターなんだから、デッドボールで野球人生が終わってしまったら、悲しむファンがいっぱい出てくるだろう。だからボールの避け方がうまくならないと、自分が痛い思いをする。この前はお前の避け方が下手だった。俺だったら当ってないよ」と諭したそうです。

どこか昭和の精神論に納得できない人もいると思います。でもこれは「正しい」「正しくない」の話ではなく、「納得できるかどうか」の話です。納得するというのは人の話を聞くということであり、学ぶということです。

「物申すことが全部悪いわけでないよ。それくらいの根性がなければ、プロでもやっていけないからね。でも自分の現状を考えたら、まずは聞く耳を持たないと」

厳しいことも口にする豪胆さと、人の話に耳を傾けることを諭す細やかさは、まさに大胆で繊細な両面を感じさせます。

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【名言語録その2】

「ボールは捕るんじゃないよ。黙ってても入ってくるから」

ゴールデングラブ賞4回受賞と守備の名手でもあった松永。守備の極意を語った言葉です。プロではサードの他にショートも守った松永ですが、「本当はショートよりサードの方が難しいの。まあショートの方が動きは激しいけどね。サードは打球の強弱にも対応しなければならないからね」と話しています。

ショートにはショートの難しさがあり、サードにはサードの難しさがあるわけで、一概に比較は出来ませんが、一般的にショートは難しく、サードは簡単とされる過小評価への苦言でもあるのでしょう。いずれにしても「黙ってても入ってくる」というのは、どこか剣豪のような達人の境地だからこそ言える気がします。

松永は落合博満と秋田の屋台で一緒に飲んだ時にいろいろな話をしたそうですが、それで学んだのは、「目標をしっかり持っておかないと、練習のための練習にしかならない」ということだと話しています。「最終的な目標を自分で決めて、そこに到達するために、目の前の試合にどう臨むべきなのか。どんな準備をするべきなのか。自分の長所をどう磨いていくのか。そういうことを考えているのと、考えていないのでは結果がまったく変わってくる」というアドバイスをもらったそうです。

「ボールは捕るんじゃないよ。黙ってても入ってくる」という境地は、そこに到達するために目標を立て、準備をし、自分の技を磨いた先にあるものなのだと思います。

 

【名言語録その3】

「阪急はほんとにいい球団だったな。今は、もうなにがなんだかわからなくなっちゃってるけどね。オリックスで、バファローズで」

特に後半の部分は、オールドファンにとって同感なのではないでしょうか。阪急からオリックスに変わっただけでなく、球団再編問題での近鉄バファローズとの合併、フランチャイズ問題で神戸から大阪への本拠地移転など、ファンを困惑させる出来事が頻出しています。

阪急ブレーブスはその全盛期が、V9時代の読売ジャイアンツと重なるところがあり、パリーグは制しても日本一には手が届かないチームでした。しかし「ドクター・ベースボール」ことダリル・スペンサーの影響を受けたチーム力は日本球界屈指のものでした。

球団がオリックスに変わって4年目のオフに、監督との不和もあった松永は阪神タイガースへと移籍します。怪我と悪意あるマスコミの記事に翻弄され、一時期「02」という珍しい背番号を背負ったトピックスを残した程度で、自身も制度導入に大きく関わったFAを利用し、球界初のFA選手として福岡ダイエーホークスに移籍しました。

当時、何人かのアマチュア有力選手がドラフト指名を拒否し、「そんなに今のプロ野球って夢がないのか」という思いから、松永も実行委員となって作られたのがFA制度で、自ら第1号となるのは彼らしい行動なのかもしれません。

最後にチームメイトだったパンチ佐藤が語る松永のエピソードをひとつ。松永はヒットを打つともらえる商品をそのままロッカーに山積みしていたのだそうです。ある時、パンチ佐藤がその中の電気ポットをいただけないかとお願いすると、松永は困った顔でくれたそうです。翌日、別の選手から「パンチ、松永の賞品はもらっちゃいかん」と注意されました。松永は賞品を1年間ためて、オフになると身体が不自由な子どもたちの学校に、サンタクロースになってプレゼントしているからという理由でした。

無頼ながらも優しい漢の一面がわかります。

 


名言からの学び

・一流は大胆かつ繊細である

・技を磨いた先に境地がある

・生き様にこそ人柄が現れる

 

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