近藤健介の凄さが分かる名言・語録集!天才アベレージヒッターの伝説エピソードから努力論まで
打者にとってアウトにならないこと、つまり出塁率の高さは、チームにとっても大きな貢献です。そのため野球統計(セイバーメトリクス)の指標には、OPSやIsoD、wOBA、wRAA、wRCなど、出塁率に関係するものがたくさんあり、選手の評価基準にもなっています。その出塁率が高い選手の代表が近藤健介です。
歴代で通算4000打数を越える選手のうち、出塁率が4割を越えているのは王貞治、落合博満、柳田悠岐(現役なので未確定)、松井秀喜のわずか4人で、2022年シーズンまで3300打数で出塁率.413の近藤が4000打数に到達した時、どんな数字を残しているのか楽しみです。他の4人が軒並みホームラン打者であることを考えると、近藤の特異さがよくわかります。アベレージヒッターとしての才能と、素晴らしい選球眼が彼を支える武器です。
2022年のシーズン終了後、近藤は長年慣れ親しんだ北の大地から、遠く南の地にFA移籍しました。東京オリンピックと第5回WBCなどで日本チームの優勝に貢献し、勝つ喜びを知る近藤だけに、常に優勝を狙えるチームへの移籍は必然だったのかもしれません。
今回はいくつもの国際大会で日本の優勝に貢献した近藤健介の凄さが分かる名言や語録を紐解き、天才アベレージヒッターの伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
近藤健介について
まずは近藤健介の経歴を追ってみます。
1993年8月9日生まれ、千葉県千葉市緑区出身。中学までは軟式野球で活躍し、野球の名門である横浜高校には一般入試で入学しました。1年次から遊撃手としてレギュラーを獲得しますが、肩の強さから捕手に転向。2年次に春の選抜大会、3年次に夏の選手権大会で甲子園に出場し、アジア野球選手権大会では代表に選出され、優勝に貢献しました。2011年のドラフト会議で北海道日本ハムファイターズから4位指名を受け、入団します。
ルーキーイヤーから1軍に昇格し、初安打を記録。日本シリーズにも出場します。2年目、3年目はレギュラー選手の故障もあり、外野手や三塁手として出場し、4年目となる2015年には主に指名打者として初めて規定打席に達し、3割を越える打率を記録します。2016年は故障もありましたがチームの日本一に貢献。2017年はシーズン途中で椎間板ヘルニアの手術を受けることになりますが、シーズン中に復帰。231打席ながらも100打席以上では史上最高となる打率.413を記録しました。
2018年から2020年まで3年連続で打率3割を上回り、2019年から2年連続でリーグの最高出塁率を記録。2022年には通算1000安打に到達し、そのオフにFAで福岡ソフトバンクホークスに移籍が決まりました。
2022年シーズン終了まで、プロ通算11年間で1016安打、52本塁打、41盗塁、打率.307。ベストナイン3回、最高出塁率2回。
日本代表としても2017年アジアプロ野球チャンピオンシップ、2019年WBSCプレミア12、2021年東京オリンピック、2023年WBCで優勝メンバーに名を連ねています。
私が選ぶ、近藤健介の凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「ここでチャンスをものにできなければ、一生順番は回ってこない」
プロ入り3年目の近藤が、シーズン前に恩師である横浜高校元監督の渡辺元智に語った言葉です。実際に近藤はこの年に初めて規定打席に到達し、打率.326を記録するなど、一躍ヒットメーカーとして名が知られるようになります。
多くのプロ野球選手を輩出する名門横浜高校ですが、近藤はスポーツ推薦ではなく、一般入試で入学し、野球部に入っています。野球部の部長やコーチを40年以上務めた小倉誠一郎によれば「長い指導歴の中で、自分から売り込んで野球部に入ってきたのは筒香と近藤の2人だけ」だそうです。
野球エリートが集まる中、一般入試から入った近藤は1年次にレギュラーを確保します。人懐こい笑顔で「将来は料理人になりたい」と言いながら、寮でチャーハンなどを作っていたという近藤ですが、オンとオフがはっきりしていて、オンの時は同級生でも声をかけるのが怖いほど集中していたそうで、練習が休みの日に、皆で遊びに行く時も彼だけはグラウンドで練習してから合流するのが当たり前でした。
推薦組の中に自ら飛び込み、与えられたチャンスをものにした近藤は、続いて飛び込んだプロの世界でも、巡って来たチャンスをしっかりとつかみ取りました。
【名言語録その2】
「ストライクとボールを見極めているという感覚はない。自分が打てる球だけを打っている」
日本を代表するヒットメーカーとして知られ、いまだに首位打者を獲得していないことが不思議な近藤ですが、2019年から2年連続でリーグの最高出塁率を記録しています。2022年シーズンまでの通算出塁率は4割を越え、その打撃センスだけでなく選球眼の良さには定評があります。
しかし近藤自身はただ「打てる球だけを打っている」と話しています。それは裏を返すとストライクゾーンならば打てる感覚があり、打てないと判断できる球はボールだということです。子どもの頃からテニス、水泳、剣道、卓球、体操、バドミントンとあらゆる競技で頭角を現し、小学2年生の時にはわんぱく相撲で優勝もしている近藤。それらは類まれな運動能力と認知能力のなせる技でしょう。
横浜高校でコーチなどを務めた小倉誠一郎は、近藤について「ピッチャーの狙い球とか、打ち方の修正点とか、仲間に聞かれたときにアドバイスができる奴なんだよ。高校時代もコーチの代わりのようなことができていた」と語っています。
WBC前のキャンプでは「フリーバッティングで1球目を打つ時から実戦を意識するようにしていました」と言う近藤。それは初めて対戦する投手をイメージした結果なのだそうです。初対戦ではつい様子を見ようとしたり、立ち遅れたりして、コースが甘くても初球を見逃してしまいがちです。才能だけでなく、しっかりとした心構えが、高打率と高出塁率を支えているのです。
【名言語録その3】
「勝つことによって、自分のレベルもやっぱりどんどん上がってくる」
2022年のシーズン終了後、近藤はFAを宣言し、福岡ソフトバンクホークスに移籍をしました。その理由のひとつが「勝つこと」です。近藤は古巣のファイターズについて「典型的に弱いチーム。連勝して連敗する」と話しています。ちょうど戦力の入れ替わり時期で、この年から指揮をとる新庄剛志監督は「優勝なんか一切目指しません」と宣言し、戦力の見極めに1年を使いました。
しかし高校時代を含め、日本代表としても「勝つこと」が求められる中で自分を磨いてきた近藤にとっては、優勝を目標としない中で、最良のプレーは出来ないと考えるのは必然なのだと思います。
栗山英樹がまだファイターズの監督だった頃、近藤に関して「コンちゃんは野球の神様の子どもなんだね。神様に指名された感じがする」と話しています。それほど野球を愛し、愛される近藤だけに、新天地での活躍も楽しみです。
名言からの学び
・チャンスには限りがある
・才能はしっかりとした心構えのもとでこそ磨かれる
・勝つことでしか学べないこともある
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