甲斐拓也の凄さが分かる名言・語録集!育成出身の天才キャッチャーの伝説エピソードから努力論まで
投手にとって強肩キャッチャーというのは頼りになる存在です。いくらリードが上手くても盗塁を刺せなければ、シングルヒットがことごとくツーベースヒットと同じになり、失点の可能性が拡大します。その強肩ぶりから「甲斐キャノン」と呼ばれ、日本シリーズで6連続盗塁阻止の活躍でMVPに輝いたのが甲斐拓也です。
育成ドラフト6位で指名され、その年の全ドラフト指名選手97名中94番目に名前を呼ばれた甲斐。それから3年で支配下登録を勝ち取り、4年で1軍出場、7年にしてゴールデングラブ賞を獲得するまで成長した努力家です。
2020年シーズンからは、ホークスのレジェンド野村克也がつけた背番号19を継承し、東京オリンピックでの活躍も期待されています。
今回は「甲斐キャノン」こと、甲斐拓也の凄さが分かる名言や語録を紐解き、育成出身の天才キャッチャーの伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
甲斐拓也について
まずは甲斐拓也の経歴を追ってみます。
1992年11月5日生まれ、大分県大分市出身。中学時代にリトルリーグで内野手として全国大会へ出場していますが、楊志館高校で捕手に転向。甲子園出場はなりませんでしたが、福岡ソフトバンクホークスのスカウトの目にとまり、2010年の育成ドラフト6位で指名され、入団を決めます。
三軍制を敷くようになったホークスで、じっくりと指導受けるとともに経験も積み、2013年に支配下登録選手に昇格。翌2014年には1軍出場も果たします。2016年、1軍での初安打と初打点を記録。
2017年、初スタメン出場、更に初本塁打は逆転満塁弾となりました。日本シリーズでは同じく育成出身の千賀滉大とバッテリーを組んで勝利をあげ、日本一に貢献し、ゴールデングラブ賞も受賞します。
2018年にはレギュラー捕手として「甲斐キャノン」が炸裂し、12球団の捕手でトップの盗塁阻止率.447を記録。日本シリーズでは6連続盗塁阻止を決め、シリーズMVPとなり、2年連続でのゴールデングラブ賞を受賞。
2019年、初の規定打席に達して、育成出身初となる二桁本塁打を放ち、3年連続ゴールデングラブ賞を獲得。オフにはプレミア12の日本代表にも選ばれ、日本の優勝に貢献。
プロ通算9年間で、214安打、23本塁打、打率.237、盗塁阻止率.382。ゴールデングラブ賞3回、ベストナイン1回。
背番号をホークスのレジェンド捕手である野村克也の19番に変更し、2020年の東京オリンピックでも活躍が期待されています。
私が選ぶ、甲斐拓也の凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「小学生の頃からキャッチャーというのがなんか好きで」
少年野球のポジションの中で、一番人気がなくて嫌われるのが捕手です。多くの捕手が指導者の勧めで仕方なくやりはじめた、という場合が多いようです。
実際、2キロを越える防具をつけて動くのは大変ですし、投手のボールを受け続けるのもなかなかの苦行です。ファウルチップが襲って来たり、打者のバットが飛んで来たりするのも怖い、そんなポジションです。更にレガースやプロテクターなどをそろえる経済的負担もあります。
野球人気が高かった昔でも「捕手ならやらない」という野球少年がいましたし、マンガ「ドカベン」が流行っても捕手志望の選手は決して多くありませんでした。小学生の頃からキャッチャーが好きだったという甲斐は貴重な人材でした。
ドラフトでは97人中94番目の指名でしたが、彼を推薦した福山スカウトは「野性味がありました」と話しています。
「プレーがエネルギッシュで、小さいのにバイタリティがあった。それに抜群のスローイングスピード」が目についたそうです。「こいつなら賭けてみたい。そう思わせる何かがありました」
スカウトを惚れさせる、甲斐はまさに捕手の申し子ともいうべきでしょう。
【名言語録その2】
「僕は自分のできることをやるだけ。他人のことを気にしても仕方ないですから」
甲斐の帽子のツバには「人はヒト」と書き込まれているそうです。しかしそれは単純にマイペースを意味しているわけではありません。育成という立場から這い上がるためにには、まず自分のレベルを上げなければいけないという気持ちからの表現です。
甲斐が注目を浴びるきっかけになったのは、「甲斐キャノン」と呼ばれる盗塁阻止力です。単に強肩というだけでは盗塁阻止はできません。クイック投法や配球はもちろん、スローイング、そして野手との連携も重要です。
遊撃手の西田哲朗は「甲斐キャノン」について、「低いところから伸びてくる」と話しています。そして「タッチしやすいところへ投げてくれるのが、盗塁阻止率が高い要因だと思います」と解説しています。
2018年の日本シリーズでは、セリーグトップの95盗塁を誇る、機動力に優れた広島カープとの対戦でしたが、甲斐キャノンによる6連続盗塁阻止で、カープの足を完全に止めてしまいました。
そこには甲斐本人の準備はもちろん、シーズン中の対話や結果から、投手や野手とも必ず盗塁を阻止するという意識の共有がされていたのだと思います。
【名言語録その3】
「日本シリーズは7試合しかないと言われますが、僕からすれば7試合もあるんです」
日本シリーズの前、ひとりの打者につき「30打席のことまで考えました」と語った甲斐。1試合で4打席回るとして、7試合ならば28打席です。つまり日本シリーズが7戦目までもつれた場合を想定して、すべての打席を考えて配球したということです。
とにかく気がついたことはノートに書き、キャンプでもシーズン中でも、当たり前に休日を返上して練習するという甲斐。
「周りからはすごいねなどと言われますが、僕にとってはいたって普通のこと。やるべきことがあるからやるだけです」
家に帰っても野球のことばかり考え、対戦相手については次のカードだけでなく、その次とそのまた次の相手まで、しっかりとデータやビデオを見て研究するそうです。
エースの千賀滉大は「拓也はなぜそのボールを選択したのか、いつも説明をしてくれる。だから僕は拓也のリードを信頼してマウンドに立つことが出来ている」と話しています。
根拠のあるリードといえば、ホークスの偉大な先輩でもあり、日本最高の捕手として、あるいは優れた指導者として知られる野村克也が、常々口にしていることです。
野村克也監督の名言!苦労人の努力やリーダー論など人生哲学に迫る
甲斐はその野村の著作を読んで勉強していたそうです。野村は同じく母子家庭であり、育成選手とテスト生という底辺からの成り上がりという点などの共通点から、甲斐に自らの背番号19を「つけて欲しい」と勧めていました。
その野村が亡くなった2020年、甲斐は19番を背負うこととなりました。どれだけ天国の野村を唸らせるリードをしてくれるか、ファンとしても楽しみです。
名言からの学び
・好きこそものの上手なれ。
・常に最善を尽くして、結果を待つ。
・根拠が自信になる。
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