今永昇太の凄さが分かる名言・語録集!投げる哲学者とも呼ばれる天才サウスポーの伝説エピソードから努力論まで
プロ野球選手の中には、読書家も多くいます。たとえば鳥谷敬は哲学書まで読んでいるそうです。思索的という意味では、その独特な表現や、意味深な発言などから「投げる哲学者」と呼ばれる投手が時々います。たとえば小宮山悟、久保康友などです。今永昇太もそのひとりです。
今永の発言はある種のアフォリズム、つまり警句や金言と呼ばれるもの類であり、どこか格調が高く、意味深いものが感じられ、ファンの間では「今永語録」として、人気になっています。それらの言葉は、今永の他に、濵口遥大、石田健太、東克樹という左腕王国ともいえるチームの大黒柱として、背負うものの大きさを感じさせるものでもあります。
2017年の日本シリーズでは、2試合連続で2桁奪三振というダルビッシュ有以来の快投を見せ、リーグを代表する左腕としての矜持を見せつけました。
今回は投げる哲学者とも呼ばれる今永昇太の凄さが分かる名言や語録を紐解き、天才サウスポーの伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
今永昇太について
まずは今永昇太の経歴を追ってみます。
1993年9月1日生まれ、福岡県北九州市出身。中学時代は身体も小さく、目立った選手ではなく、県立の北筑高校へ入学。甲子園出場はならず、卒業後は駒澤大学に進学。3年の秋季リーグではMVPを獲得し、チームを優勝に導きます。2015年のドラフトでは横浜DeNAベイスターズから1位指名されて入団します。
ルーキーイヤーから先発ローテーションに入り、シーズン防御率2.93ながらも打線の援護に恵まれませんでした。高いクオリティスタート率を誇りながらも負けが重なり、14奪三振を奪いながらも敗戦投手になるなど不運なシーズンを送りながらも8勝をあげます。
2017年は初登板こそ緊急降板するものの、シーズン初の二桁勝利をあげ、防御率も2年連続で2点台となる2.98を記録し、リーグを代表する左腕としての地位を確立。チームの日本シリーズ進出の原動力になります。日本シリーズでは2試合連続で2桁奪三振の力投を見せましたが、チームは破れます。
2018年は不調に陥り、リリーフも経験するなど、苦戦しますが、2019年にはタイトル争いにも絡むなど復活を遂げます。自己ベストの13勝、170イニング、完封3、防御率2.91という抜群の成績でシーズンを終え、2年ぶりのCS進出に貢献しました。
2019年シーズン終了まで、プロ通算4年間で36勝、防御率3.55。
プロ4年間のうち3シーズンで、防御率2点台という安定した成績は、ベイスターズのみならず日本を代表する左腕として、大きな期待を背負っています。
私が選ぶ、今永昇太の凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「お前ら全員目を閉じろ。俺らは崖っぷちだけど崖っぷちじゃない。俺らは鳥だ!鳥になるんだ」
2017年の日本シリーズで3連敗して迎えた第4戦前のミーティングで、今永がチームメイトにかけた言葉です。もちろん皆をリラックスさせようと笑いを誘うための発言であり、彼の思惑通り、チームメイトは大爆笑して力が抜け、4戦5戦と連勝するひとつのきっかけになりました。
今永はマウンドでの寡黙なイメージに反して、トークショーなどでは面白い話をする選手のひとりですし、いきなり即興で自作のラップを披露したこともあります。
3人兄弟の末っ子だった今永は、兄が父親や先生に怒られている姿を見ていて、どうすれば自分は怒られずにすむかを考え、意識していたそうです。
「全然クレバーなんかじゃなくて、ただ要領がいいだけなんです。自分で言うのも何ですけど、大学でも1年生の時なんかはめっちゃ厳しかったんで、処世術はうまいと思います」
しかし要領がいいというのは、まず周囲を観察する姿勢と、何が自分に取り入れられるのかを考えることでもあります。
たとえばプレミア12に選出された時、鈴木誠也がずっと秋山翔吾とバッティングの話をしているのを見て、首位打者を獲るほどの選手でもなお貪欲に知識を吸収してる姿勢に、「トップクラスがそれだけやってるのに、俺もやらなきゃだろだろう」と感じたそうです。
「自分の中で良いと思うこと、あまり良くないと思うことも、まずは1回やってみる。その後にどうなのか、を考える。どんなアドバイスも自分の中で取り入れてみて、それで自分がどう変化していくか。人間が成長していく過程において変化が一番大事だと思うので、まずは何事も受け入れてみるようにしています」
プロのコーチの話を聞くと、この頃はアドバイスをしても無視する若手が多いと耳にします。もちろんコーチにあれこれと言われて、フォームを崩してしまう選手もいるし、自分を貫くことも時には大事です。しかし熟練者のアドバイスは、その人が何十年もかけて得たものを、ほんの短い時間で得られるチャンスでもあります。
今永は多くのものを学ぶことで、まさに鳥のように崖を恐れず飛び立つ力を得ているのだと思います。
【名言語録その2】
「援護点がない、というのは防御率0点台の投手が言うこと。僕の力不足です」
ルーキーイヤーは防御率2点台の好成績を維持しながらも、なかなか勝ち星に恵まれなかった今永。確かに勝ち星は打力や守備力などチーム力の影響を受けます。
しかしチーム戦の野球においてチームの勝利が結果である以上、勝ち星にこだわるのは当然のことです。そこにこだわるならば投手として防御率0点を目指すのは、究極のチームプレイです。
「勝つか負けるかを運と言っているようではその先の成長はない」
野球に限らず、技術を競うプロの世界において、運に左右される要素はできるだけ排除されなければならないものです。プロにとって運とは、万事を尽くした後に残るものであるか、何もしなかった時に起こった偶然の選択なのです。
2016年のCS第2戦で坂本勇人にホームランを打たれたことについて「四球でも二塁打でも良かったかもしれない。本塁打だけが不正解。本塁打を回避するという考え方が出来ていなかった。僕が一皮むけるかむけないのか、ずっとこのレベルでいるのか、次のレベルになれるのか、というところがこの本塁打なのかな」と話しています。
このCSの第1戦でも坂本はホームランを打っていますが、シチュエーションは同じく2アウトでランナー無し、チームは負けている場面です。同じような状況であり、坂本がホームランを狙いにくることは考えておかなければいけないのは確かです。
今永が「投げる哲学者」たる由縁は、意味深な言葉を吐くからというよりも、この反省し、学ぼうとする力にあるのだと思います。
【その他名言・語録集】
「鎌倉幕府です」
ドラフトで指名された際に、ベイスターズの本拠地のある神奈川県の印象について聞かれた答え。
「雨だから負けていい、なんていうのはレベルが低い。幼稚な考え方。そこをどうするか考えることでランクが上がる」
本拠地がドーム球場ではないチームだからこそ、必要なことでしょう。
「こんなに勝つことが大変なんだなと思った。今日は広島に勝ったというより、過去の自分に勝つことができた」
プロ初勝利の感想。好投しながらも開幕4連敗した今永ですが、この後5連勝して巻き返します。
「これで終わってしまうようなら、それまでの投手。ここから今永がどう変わっていくのか」
4回4失点で降板した際の言葉。それくらいの負けは投手をやっていれば普通にあることですが、今永は貪欲に先を求めます。
「負けた投手は何も残らない」
7回3安打で1失点で敗戦投手になった時の言葉ですが、打てない野手を責めるのではなく、自戒とするところが今永らしいです。
「たまたまで勝ち続けることはできない。次回はなぜ勝ったのかということを、しっかり皆さんに説明できるようにしたい」
是非、今永には「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」という言葉を贈りたいです。
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名言からの学び
・他者の経験も自分の財産になる。
・プロの技術は運に左右されない。
・言葉には力がある。
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