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オレステス・デストラーデの凄さが分かる名言・語録集!スイッチヒッター本塁打王の伝説エピソードから人生哲学まで

日本プロ野球とメジャーリーグのトップ選手は、ほとんど差がないレベルになってきたとよく言われます。それでも大谷翔平という怪物を除けば、長打についてはまだまだ差があるようです。もうひとつ大きな差が感じられるのはスイッチヒッターの活躍です。日本人スイッチヒッターは今や絶滅寸前。いても小兵で足を活かすタイプばかり。しかし両打席で本塁打を量産し、スイッチヒッターでも本塁打王になれるのを見せつけたのがオレステス・デストラーデです。

メジャーリーグでは過去ミッキー・マントルが536本、エディー・マレーが504本の本塁打を放っており、その後もチッパー・ジョーンズ、カルロス・ベルトラン、マーク・テシェーラ、ホルヘ・ポサダ、バーニー・ウイリアムズ、ロベルト・アロマーらが続き、現在もカルロス・サンタナ、ホゼ・ラミレス、フランシスコ・リンドーアなど、強打のスイッチヒッターを多数輩出しています。

しかし日本では松永浩美、松井稼頭央が200本塁打を越えただけ。本塁打王となると助っ人のオレステス・デストラーデとフェルナンド・セギノールの2人のみ。なかでもデストラーデは5年間で3度の本塁打王と、別格のパワーを見せつけました。

今回は西武黄金期に大活躍したカリブの怪人ことオレステス・デストラーデの凄さが分かる名言や語録を紐解き、スイッチヒッター本塁打王の伝説エピソードから人生哲学にまで迫ります。

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オレステス・デストラーデについて

まずはオレステス・デストラーデの経歴を追ってみます。

本名オレステス・デストラーデ・ククアス。キューバ共和国サンティアーゴ・デ・クーパー出身。5歳の時に家族と共にアメリカ合衆国へ亡命。フロリダ州マイアミにあるクリストファー・コロンバス高校を卒業し、キリスト教系のフロリダ・カレッジに進学。58試合で23本塁打を記録し、1981年にニューヨーク・ヤンキースと契約。

マイナーリーグでの大きな怪我などもあり、1987年9月にメジャーデビューを果たし、1988年にピッツバーグ・パイレーツにトレードとなります。この頃から中日ドラゴンズ、阪神タイガースなどが彼に興味を持ちますが、契約には至らず、1989年のシーズン途中に西武ライオンズ(現埼玉西武ライオンズ)に入団します。

日本デビュー戦でいきなり本塁打を放ち、83試合で32本塁打を記録。翌1990年から3年連続で本塁打王、2年連続で打点王に輝き、秋山幸二、清原和博に次ぐ5番打者として君臨し、他チームからは「AKD砲」と恐れられました。この1990年からの3年間はライオンズが日本一3連覇を成し遂げています。

1993年はかつて日本でも活躍した「マリオ」ことカルロス・ポンセが、メジャー新球団のフロリダ・マーリンズ(現マイアミ・マーリンズ)にスカウトし、契約が成立します。このシーズンは20本塁打を記録しますが、1994年は不振に陥り、5月末にチームが彼の支配権を放棄。翌1995年に再びライオンズと契約して来日しますが、ブランクもあって活躍できないまま引退。

メジャーリーグ通算4年間で184安打、26本塁打、打率.241。
日本プロ野球通算5年間で476安打、160本塁打、42盗塁、打率.262。本塁打王3回、打点王2回、ベストナイン3回。

引退後はタンパベイ・レイズのブロードキャスターを務めたり、2006年のWBCの解説をするなど活躍し、2024年からはライオンズのスペシャルアドバイザーに就任し、外国人選手のサポートなどを担当しています。

 

私が選ぶ、オレステス・デストラーデの凄さがわかる名言・語録集

【名言語録その1】

「まずハングリーだったこと。日本の野球を勉強し、ビデオで研究し、コーチのアドバイスをよく聞いたこと」

日本で成功できた理由について、デストラーデは上記のように語っています。決して豊かではないキューバ移民の子であったハングリーさと研究熱心さが、彼の成功の礎でした。

「日本の球団から最初にオファーがあったのは、88年の中日ドラゴンズだった」そうです。まだメジャーでのプレイにこだわり、それを断りましたが、翌年は阪神タイガースの村山実監督との面談まで進んでいましたが、フロントの拒否で白紙に戻りました。

その後ライオンズと契約し、大活躍するわけですが、タイガースがこの年に契約した助っ人はセシル・フィルダーです。翌年メジャーリーグに復帰して2年連続本塁打王に輝いた選手ですから、タイガースフロント陣の判断も失敗とは言えないでしょう。でももし守備に目をつぶり、デストラーデを外野手で起用し、岡田彰布、フィルダー、デストラーデでクリーンアップを組んでいたらという「IF」も考えてしまいます。

いずれにせよ、同じ時期に、日本の環境がメジャーで芽が出なかったフィルダーを覚醒させ、メジャーで成功しなかったデストラーデをスターに引っ張り上げたことは、日本の野球選手がメジャーで活躍できる可能性を感じさせるものだったように思います。

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【名言語録その2】

「私はメジャーリーグと日本の1軍との距離は遠くに感じていなかったよ。結局、日本の選手やファンが、メジャーリーグを精神的な部分で遠いものと考えていただけじゃないかな」

デストラーデはチームメイトだった秋山幸二について、「身体能力はメジャーリーグでオールスターに出場する選手くらい高かった」と評価しています。しかし秋山が「実際にメジャーリーグに行っていたら、成功するのは難しかったと思う」と話し、その理由を「技術ではなく、マインドの部分で準備ができていなかったから」と説明しています。

「でも野茂さんはそれをものともしない強いマインドがあった。だから、あれだけの活躍ができたんだ」

確かに野茂英雄がメジャーに挑戦を表明した時、日本の評論家や野球ファンの多くが「無理」とか「通用しない」といった予想でした。けれどそれはまさに「メジャーリーグを精神的な部分で遠いものと考えていた」日本人側の問題だったと言えます。

デストラーデは野茂について「ノーサンキュー。本当にすごかった」と言って、村田兆治と共に印象に残る投手として名前をあげています。

マインドということに関して、チームリーダーだった石毛宏典との笑い話があります。石毛はデストラーデが調子を崩している時、「気持ちを切り替えろ」というつもりで「Change your heart」と声をかけたそうです。するとデストラーデは「ハート?マインドじゃなくて?」と答え「それだと心臓をくり抜かれて死んじゃうよ」と大笑いしたそうです。

「日本には先輩、後輩というのがあり、ミーティングや団体行動が多く、厳しい部分もある。でも試合前に一緒に食事をするのはチームの意思統一ができる貴重な時間だった」

「時代は変わっていくものだから、野球も変わっていかないといけない」と語りながらも「日本の野球文化のコアな部分を変える必要はない」とも話すデストラーデ。まさにマインドを理解している言葉だと思います。

 

【名言語録その3】

「ひとつのことを成し遂げたチームから、枝分かれしてまた新しいものを築いていく。それがスポーツなんだ」

常勝ライオンズの看板打者のひとりだったデストラーデ。秋山幸二、清原和博、辻発彦、平野謙、石毛宏典、伊東勤、田辺徳雄、渡辺久信、工藤公康らのチームメイトは、それまでセリーグ一辺倒だった人気をパリーグに引き寄せるきっかけとなりました。

このチームについてデストラーデは「広岡さん、森さんは巨人V9の時の選手だった。その彼らが西武の黄金時代を築き上げた」と語り、広岡達朗、森祇晶という2人の監督の功績を讃えています。事実、裏方として根本陸夫が駒をそろえ、管理野球として知られた広岡がアスリートとしての意識改革をもたらし、調整力のある森が個性あふれるメンバーの手綱を握っていたことが、常勝チームの礎になったのは間違いないでしょう。

「西武にはアプローチの違うモチベーターがいて、それが最終的にひとつに結合され、勝利へと導いていったんだ」

デストラーデによると打撃コーチだった広野功は、いつも優しく頑張れと励ましてくれ、三塁ベースコーチの伊原春樹はいつも厳しくて怒っていたそうです。コーチ陣も選手も皆、それぞれの役割を理解していたのが、強いチームの特長だとも言えます。

この常勝チームのメンバーたちは、その後、コーチや監督としてさまざまなチームで活躍しています。それがデストラーデいわく「枝分かれしてまた新しいものを築いていく」のでしょう。

2024年に古巣ライオンズのスペシャル・アドバイザーに就任したデストラーデは、その時の会見で「今の西武ファミリーに恩返しをしたい。家族はいい時も悪い時もお互いに支え合うもの。更に良いものを目指すためには失敗は大事なもの」と話しています。彼もまた「新しいものを築いていく」原動力になることでしょう。

 

 

名言からの学び

・覚醒のチャンスはどこにでもある

・意識のないところに才能は芽吹かない

・経験は受け継がれてこそ意味がある

 

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