鈴木尚典の凄さが分かる名言・語録集!天才打者の伝説エピソードから努力論まで
本塁打や盗塁とは違い、打率は増えたり減ったりします。それだけに首位打者を獲るのは難しく、連続となるとなかなか至難の業です。イチローの7年連続を例外とすれば、続く3年連続は長嶋茂雄、張本勲、落合博満らそうそうたるメンバーばかりです。セリーグでは2019年シーズン終了時点で、21年の間、連続首位打者は出ていません。その最後となっている選手が鈴木尚典です。
鈴木は横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)が、1998年に38年ぶりとなる日本一に輝いた際に首位打者としてチームを牽引し、勝負強い打撃で「横浜マシンガン打線」の中軸として活躍しました。
同じチームで活躍した石井琢朗は通算2432安打していますが、1000安打達成が943試合目で、鈴木は896試合目。達成年齢も1歳しか違わなかったことを考えれば、2000本安打も達成可能な選手でしたが、不振やケガなどから急ブレーキがかかったように打てなくなった姿はプロの厳しさを教えてくれます。
今回は「マシンガン打線」の中軸だった鈴木尚典の凄さが分かる名言や語録を紐解き、2年連続首位打者を獲得した天才打者の伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
鈴木尚典について
まずは鈴木尚典の経歴を追ってみます。
1972年4月10日生まれ、静岡県浜松市出身。横浜高校に入学直後から4番に座り、2年生の時に夏の選手権大会で甲子園に出場。1990年のドラフトで横浜ベイスターズから4位指名を受けて入団。
ルーキーイヤーに1試合のみ1軍で出場、2年目となる1993年に初安打を記録します。1995年からスターティングメンバーとしての経験を重ね、1996年に規定打席に到達し、レギュラーを獲得します。1997年に首位打者に輝き、石井琢朗と共にベイスターズ初の1億円プレーヤーとなりました。翌1998年も2年連続で首位打者を獲得。チーム38年ぶりとなる日本一に大きく貢献しました。
1999年は首位打者は逃すものの3割を越える高打率を残し、2000年は20本塁打を記録。2002年には故障もあり成績を落としますが、2003年は再び3割を達成。しかし2004年から急に不調に陥り、代打に回ることが増え、2008年に引退。
プロ通算17年間で通算1456安打、146本塁打、62盗塁、打率.303。首位打者2回、ベストナイン2回。
引退後はベイスターズの二軍コーチや球団職員を務め、2019年からBCリーグの神奈川フューチャードリームスの監督に就任しました。
私が選ぶ、鈴木尚典の凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「あの時やっておけば良かったと思わないように日々を過ごした」
鈴木はプロに入る前から、プロ野球選手以外の職業はまったく考えていなかったそうです。入団して2軍でも打てなかった時期でも、クビになるとか思い悩むことはありませんでした。それは後悔しないように日々の努力を惰らなかったからです。
「野球選手ってわがままなんですよ。だから上原投手から三振した時、最後の球がフォークだったら上原逃げたなって思うようにしていました。たとえば真っ直ぐきてたら打てたって。技術的な反省はするけど、精神的には反省しない」
ポイントは「技術的な反省はする」という点でしょう。どんなにわがままな発想であっても、プロとして必要なことはスルーしていません。ただの精神論で終わるのではなく、狙ってはいない球だったとしても、どうすればカットできたのか、あるいは打ち返せたのかを技術として検証することは、高いアベレージを残し続けるために必要なことです。
そんな割り切った反省ができたのは、後悔しないように日々技術を磨いてきた裏付けがあったからなのでしょう。
【名言語録その2】
「やっぱり打線っていうのが繋がりがあるものなので」
横浜の「マシンガン打線」は1999年にセリーグ歴代最高記録となるチーム打率.294(投手を除くと.303)という数字を残しています。4番のロバート・ローズはこの年に37本塁打を記録しているものの、それ以外の年は15本から20本程度であり、他の選手も本塁打は10本ちょっとくらいの中距離打者で、そんなにホームランは出ないものの、マシンガンのように切れ目なく繋がる打線でした。
しかし打線は水もの、高打率がいつまでも続くわけがありません。そうなると本塁打が欲しくなります。シーズン20本ほどの本塁打を放っていた鈴木ですが、高校時代には長距離砲として知られていただけに、本人も周囲も30本くらいの本塁打を期待してしまうのもわかる気がします。
「ホームランの数を増やしたくてフォームを変えたんですよね。前年の秋からフォームを変えてなかなか戻せなくて。だましだましでした」
不調に陥った原因について、鈴木はそう語っています。いくら20本塁打を記録していたとはいえ、本拠地の横浜スタジアムはもちろん、東京ドーム、神宮球場、旧広島市民球場など、狭くて本塁打の出やすい球場が多かったセリーグでの数字です。結果として本来の打撃を見失ってしまいました。
野球において1発でゲームをひっくり返すことができる本塁打は大きな脅威であり、劇的な逆転劇にはほとんど本塁打がからむものです。鈴木のように足が速いわけではないアベレージヒッターの場合、打点や得点の多さは他の打者の出塁率や得点圏打率に依存します。打線がつながらなければ得点にはならない選手よりも、本塁打を多く放ち、自分で打点も得点があげられる打者の方が求められやすいのは、点取りゲームである野球の必然なのかもしれません。
いずれにせよ鈴木という打者は、打線の繋がりの中で生きる、まさに「マシンガン打線」の申し子だったのかもしれません。
【名言語録その3】
「監督と呼ばれるところが楽しいです」
横浜ジュニアの監督を務めていた時の言葉です。その後、BCリーグの神奈川フューチャードリームスの監督にも就任していますが、プロ野球選手以外の職業はまったく考えていなかったという鈴木だけに、引退後も様々な形で野球に関わる仕事をし続けています。
「渡辺監督からは今はたくさん給料を貰っているかもしれないけど、野球をやらない人生の方が長いんだからちゃんと考えなさいと言われました」
渡辺監督とは横浜高校の名物監督だった渡辺元智のことです。鈴木にとって野球選手として「野球をやらない人生」を迎えても、野球に関わらない人生という選択はなかったようです。
鈴木がこれからどんな指導者になっていくのか、とても楽しみです。
名言からの学び
・後悔しないために裏付けとなる技術を磨く。
・自分が生かされる場所がある。
・やらない人生を考えてみる。
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