【ドラフト会議】ルールや仕組みの基本の全て!ウェーバー制と逆ウェーバー制とは?
2019/09/16
毎年秋の10月、近年ではクライマックスシリーズと日本シリーズの間に開催されるプロ野球ドラフト会議。
ドラフト会議という言葉は知っていても「ウェーバー制」や「逆ウェーバー制」など基本的なルールについて知らない方も結構多いのではないかと思います。
今回は、そのルールや仕組みをチェックしておきましょう。基本的な取り決めはもちろん、問題点やメジャーリーグとの違いまでご紹介しますので、是非ドラフト会議前に確認してみて下さいね。
目次
ドラフト会議について改めておさらい
最初に簡単にドラフト会議についておさらいしておきましょう。
正式名称は“新人選手選択会議”で、日本野球機構主催のもと、全12球団が新人選手を獲得するために行われる会議です。ご存知のとおり、球団が選手の交渉権を獲得するためのイベントで、選手はもちろん、球団にとっても運命を決める会議ですね。
ペナントレースが佳境に入るとともに…いや、早ければその前年あたりから、ドラフトで上位指名されそうな有力選手は、野球ファンの間で話題になります。
長い歴史の中で数多くのドラマや後世に語り継がれるインパクトのある出来事を生み出してきたプロ野球の中でも非常に大きなイベントといっていいでしょう。
ちなみにそんな注目のドラフト会議ですが、最近では一般観覧が出来るようになっています。ちょっと敷居が高いイメージがありましたが、ファンにとっては嬉しいですよね。以下でも詳しくまとめているので、興味のある方はチェックしてみて下さいね。
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指名できる選手の条件やルールについて
まず、ドラフト会議で指名できる選手の条件を確認します。特例などもありますが、基本ルールとしては以下の通りになります。
・過去に日本プロ野球の球団に入団したことがない選手。
・上記のうちで、日本国籍を持っている選手。
・もしくは、日本の中学校、高校とこれに準ずる学校、大学とこれに準ずる団体のいずれかに在学した経験を持つ選手。
・日本の学校に在学している場合は、ドラフト会議の翌年3月卒業見込み、大学の場合は4年間在学している選手。
逆に、指名できない選手は…
・ドラフト開催年度の4月1日以降に退学した選手。
・所属連盟にプロ志望届を提出していない学生・生徒。
・前年のドラフト会議で指名され、入団しなかった選手(複数の例外もあり)。
なお、中卒や高卒で社会人野球チームに入団した選手は以後3年、その他の場合は2年が経っていない選手も指名できません(廃部・休部の場合は除く)。
また、高校生と大学生でプロ入りを希望する場合には、それぞれの野球連盟に「プロ志望届」の提出が義務付けられています。毎年、プロ入りが注目される選手の場合はこの届出がなされるか否かが注目を浴びますよね。
ドラフト会議のルールや仕組みについて
次にドラフト会議におけるルールや仕組みについて、詳しくみていきます。
1巡目は抽選方式(入札抽選)
まず、1巡目は「入札抽選」で行われます。
ドラフト会議参加の全球団が同時に1名の選手を指名。そこで単独指名なら即、1巡目指名選手が決定し、2球団以上で指名選手が重複した場合は抽選となります。
壇上に上がった代表者が“交渉権獲得”の紙が入った箱に手を入れて待機し、その後、司会者の合図の声と共に一斉に開く瞬間は、何ともいえない独特の緊張感がありますね。
なお、その抽選で外れた球団は、当該球団のみで再び「入札抽選」を行い、最終的に全ての球団の1巡目指名選手が決まるまで、これを繰り返していきます。
2016年のドラフト会議で、いわゆる“外れ1位”の「入札抽選」で佐々木千隼投手(桜美林大)に5球団の入札が重複し、千葉ロッテマリーンズが交渉権を獲得したことは記憶に新しい出来事です。
2巡目以降の「ウェーバー制」と「逆ウェーバー制」について
2巡目は球団順位の逆順による「ウェーバー制」で選手の選択を行います。この球団順位の逆順で指名していく方式を「ウェーバー制」と一般的に呼んでいます。
そして3巡目は、2巡目と反対の順番で選手を選択していきますが、これが「逆ウェーバー制」と称される方式になります。
さらに4巡目以降は、ウェーバーと逆ウェーバーを交互に繰り返し、全球団が選択終了を宣言するまで続けていきます。
イメージは以下のとおりになります。
<ウェーバー制>
球団順位6位→5位→4位→3位→2位→1位 の順
<逆ウェーバー制>
球団順位1位→2位→3位→4位→5位→6位 の順
この球団順位とは、ドラフト会議開催日1週間前のペナントレース順位のとなり、2巡目のウェーバー制であれば最下位の球団が1番目となりますが、セ・リーグとパ・リーグの同じ順位の球団の先順に関しては、以下の内容で決定されます。
・ドラフト会議開催年度の交流戦で勝ち越したリーグ。
・上記で決められないときは同交流戦での総得失点差が優位のリーグ。
・それでも決められない場合は抽選により決定。
かなり細かく決まっているんですね。交流戦の成績がここで効いてくるとは、知らなかった方も多いのではないでしょうか。
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指名制限ルールは?何人まで指名できるの?
原則的に各球団10人まで指名することが出来ますが、指名選手の合計人数が120人に達した場合は、選択終了宣言をしていない球団があっても、その時点で終了します。
合計人数120人というのは、12球団×10人=120人ということですね。ちなみに120人に満たない場合であれば、1球団で10人以上指名することも可能です。
全球団が選択終了宣言をした後でも、120人に満たなかったときは、引き続き「育成選手選択会議」が行われます。いわゆる育成ドラフト(第2次ドラフト)ですね。
この「育成選手選択会議」では、1巡目はウェーバー制、2巡目は逆ウェーバー制で行われ、全ての球団が選択終了宣言するまで継続します。
日本におけるウェーバー制・逆ウェーバー制の問題点は?
1965年11月に第1回ドラフト会議が開催されてから半世紀超。その間に様々な形で制度の変遷がありました。
記憶に新しいところでは「逆指名制度」、「自由獲得枠」(後に「希望入団枠」に改称)、「高校生ドラフト」、「大学・社会人ドラフト」といったところでしょうか。
現在では前述のように、指名入札、そしてウェーバー制・逆ウェーバー方式に落ち着いており、戦力均衡を主目的とするこのシステムがしばらく継続されると思われますが、問題点も少なくないようです。
選手側に球団を選択する自由がない
その最たるものは、やはり、選手側にとって球団を選択する自由が無いこと。そのため、希望する球団への入団の可能性が消滅するかもしれない…と悟った時点で、海外へ活躍の場を求める方策を講じるとも考えられます。
特に将来性豊かな人材がそのような道を辿るとなれば、日本プロ野球界にとって大きな損失になりますね。
近年では、全球団からの指名を歓迎する意志をあらかじめ示してドラフト会議を待つ選手も少なくありませんが、やはり、好きな球団、入りたい球団があるのは自然なこと。
したがって、どちらかと言うと意中の球団以外から指名される可能性の高い現行のドラフト会議のシステムでは、希望が叶わなかった選手に対して同情する声があがるのも致し方ないことかもしれません。
メジャーでは年2回ドラフト会議が行われている
ちなみに、メジャーリーグでは現在、「ファースト・イヤー」と呼ばれるドラフト会議が毎年6月に、「ルール・ファイブ・ドラフト」と呼ばれるドラフト会議が毎年12月のウィンターミーティング最終日に開催されています。
簡単に説明すると、前者は完全ウェーバー制を取り入れており、指名抽選はありません。各球団の戦力均衡を命題としています。一方、後者は他球団にすでに所属し、マイナーに甘んじている選手を指名して活躍の場を提供することが主な目的です。選手にチャンスを与えることに重きを置いています。
希望する球団に入れる可能性は決して高くないと思いますが、このように年2回ドラフト会議が行われることで、選手の活躍の場が増え、未来への道が開ける機会は多いといっていいでしょう。
またメジャーリーグ全体としても球団ごとの戦力格差が極力抑えられ、毎年コンスタントに野球界が活性化されることになりそうです。
まとめ
・現在の日本のドラフト会議では、1巡目は「入札抽選」。指名が重複した場合は、全球団の1巡目指名選手が出揃うまで「入札抽選」を繰り返す。
・2巡目以降は「ウェーバー制」と「逆ウェーバー方式」を採用。その順番は、最下位球団が1番目となるが、セ・パ両リーグの同順位による先順は、3つの取り決めに則って決定する。
・指名できる人数は全球団合計で120人まで。120人に満たない場合は引き続き「育成選手選択会議」が行われる。
・現行制度の最も大きな問題は、選手側に球団選択の自由が無いことと思われる。
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