與座海人の凄さが分かる名言・語録集!侍ジャパンのアンダースロー投手の伝説エピソードから努力論まで
戦後、2006年まで計22回行われた日米野球。その際にメジャーリーガーを唸らせ、国際大会に強いといわれるようになったのがアンダースロー投手です。その神話は根強く、WBCでも第1回と2回大会には渡辺俊介、第3回と4回大会には牧田和久が代表に選出され、2023年の第5回大会でも選ばれる可能性があります。その最右翼が與座海人です。
1960年代から70年代にはエース級も含め、多数のアンダースロー投手がいましたが、2022年には與座の他、牧田、高橋礼、中川颯、アンダーとサイドの中間の青柳晃洋しかいませんでした。パリーグではこの10年で二桁勝利をあげたアンダースロー投手は、牧田、高橋礼、そして2022年の與座しかいません。
今や絶滅危惧種のアンダーースローですが、国際大会に強いという神話は続いており、栗山英樹日本代表監督も2022年には與座を日本代表に選び「アンダースローという非常に特殊な特徴をもっている」し、「全然見たことのない軌道から来るボールというのは有効」と話し、第5回WBC代表への選出も予想されています。
今回は第5回WBCでの侍ジャパン選出も期待される與座海人の凄さが分かる名言や語録を紐解き、貴重なアンダースロー投手の伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
與座海人について
まずは與座海人の経歴を追ってみます。
1995年9月15日生まれ、沖縄県浦添市出身。小中学校では軟式野球、沖縄尚学高校で硬式に転向し、当初はオーバースローから投げていましたが、監督の勧めにより2年の夏にサイドスローに変えました。3年では春夏連続で甲子園に出場します。卒業後は岐阜経済大学へ進学。入学後、更に腕の位置を下げてアンダースローに。リーグでは最高殊勲選手にも輝くなど活躍し、全日本大学野球選手権にも出場して好投。2017年のドラフト会議では埼玉西武ライオンズから5位指名を受けて入団します。
2018年のルーキーイヤーは右ひじの故障からトミージョン手術を受け、オフには育成選手契約になります。回復後の2019年に2軍戦デビュー。支配下登録選手に復帰します。2020年は開幕から1軍入りし、6月にはプロ初登板。7月には初勝利を上げます。しかし夏になると調子を崩して2軍落ち。シーズン2勝で終わります。2021年はチーム事情もあり、中継ぎから先発もこなし、防御率2.78を記録。飛躍への足掛かりを掴みます。
そして2022年、開幕ローテーション入りをすると、前半戦チームトップの7勝をマーク。7月には初完投初完封をあげ、10勝、防御率2.88という好成績を残しました。
2022年シーズンまでプロ通算5年間、13勝、防御率3.37。
私が選ぶ、與座海人の凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「いろいろ試していたんですけど、アンダーの方がコントロールがよかったので」
與座がアンダースローにしたのは大学1年生の終わりごろでした。最初はオーバースローで、高校2年生の時にサイドスローに転向、そして落ち着いたのがアンダースローでした。よくオーバースローとアンダースローの違いは、腰の回転方向だとか言いますが、現実問題としてはオーバースローで伸びしろが感じられなくなって、転向するパターンがほとんどです。
つまり、どちらかといえばネガティブな理由から転向することが多く、それがアンダースロー投手減少の一因になっていると思います。また昔の選手はアマチュア時代に投手専任ではなくて、投げない時は野手として出場するケースも多く、内野手として下手から投げる機会が多かったため、下手投げに抵抗が少なかったのかもしれません。
與座の場合、自分自身の試行錯誤によって、ポジティブにアンダースローを選んでいます。特に参考にしたのが牧田和久で「牧田さんのピッチングのイメージを頭の中に描いてフォームを固めてきました」と話しています。
プロになるとその牧田と同じチームとなり、いろいろとアドバイスをもらったそうですが、印象に残っているのは「今までは僕を参考にして、プロまで来たたけど、ここからは與座が誰かに目指されるようなアンダースローになって欲しい」と言われたことだそうです。
うまく行かないからアンダースローに転向ではなく、與座のようになりたいから、アンダースローを目指す人が出てくれば、かつて山田久志や杉浦忠、マンガ「ドカベン」の里中智に憧れてアンダースローが増えたように、個性豊かなフォームの投手が投げ合う姿がもっと見られるようになるかもしれません。
【名言語録その2】
「プロに入って初めてのポジションですごく大きな気づきがありました」
ルーキーイヤーから故障し、復帰してもスタミナ切れのためか、シーズン途中で2軍落ちを経験した與座ですが、2022年に飛躍するきっかけを作ったのが、2021年に中継ぎを経験したことでした。
それまでの與座は、先発する前日から「変に構えてずっと緊張」していたのだそうです。しかし、中継ぎでブルペンに加わると、増田達至や平井克典らがマウンドに登る直前までリラックスし、さあ行くぞとなると「直前にグッと集中」する姿を見て、勉強になったそうです。
「先発に戻ったあとにも、気持ちのオンオフをしっかり切り替えられるようになったと思います」とその効果を語る與座。「余裕をもって楽にゲームに入っていけるようになりました」と言う通り、その後は先発として一皮むけ、二桁勝利という大きな飛躍へとつながるのです。
【名言語録その3】
「ずっと満員の球場で投げることに憧れていました」
與座のプロ入り初登板は2020年。その後もコロナウイルス禍により、かつてのプロ野球のように観客が満員なる中での登板機会はなかなか得られませんでした。
その日を夢見て、その2020年から続けているのが、心拍数を急激に上げるトレーニングです。たとえばボックスの上に飛び乗る動作を繰り返すといった内容ですが、瞬発力を高める効果があるそうです。その結果、ストレートの球速が上がり、変化球との球速差がより大きくなって、打者のタイミングを狂わせる効果が高くなりました。
「どこまでできるのかすごく楽しみですし、ひとつひとつの登板を大事にしようと思っています」
2022年に2桁勝利を満員のお客さんの中で達成した時には、お立ち台で涙ぐむシーンもあった與座。「まだまだイニングを投げないとと思います。先発としてやらせてもらっているからには、6回、7回と長いイニングを安定して投げられるようにしないといけないと思います」と話します。
目指すピッチングができるようになれば、WBCでの活躍はもちろん、令和を代表するアンダースローとして、多くの投手の目標となる選手になっていくのではないでしょうか。
名言からの学び
・個性はネガティブなものではない
・変化が新たな発見を促す
・結果が新たな進化を促す
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