西口文也の凄さがわかる名言!天才投手の伝説エピソードから人生哲学にも迫る!
9回2アウト、あとひとりでノーヒットノーランという寸前で、打たれてしまったという投手というのは案外多く、実は21人も存在します。しかしそれが2度となるとたった二人。更に9回まで完全試合なのに延長で不意にしたこともある、となると西口文也氏だけです。
不運というべきなのか、凄いというべきなのか、答えに困ってしまう記録ですが、プロ生活21年間で通算182勝をあげ、2082個の三振を奪ったほどの投手だからこそ、そんな記録も生まれたのでしょう。
スリークォーターのフォームから繰り出すキレのいいスライダーは、幾多の強打者たちから怖れられ、1996年にはローズ、中村紀洋らがいた近鉄バッファローズ(現オリックスバファローズ)から8者連続三振を奪うなど、数々の伝説を残しています。
今回はその西口文也氏の凄さがわかる名言から、天才投手の伝説エピソードを交え、人生哲学にも迫ってみましょう。
西口文也氏について
まずは西口文也氏の経歴を追ってみます。
1972年9月26日生まれ、和歌山県和歌山市出身。県立和歌山商業高校から立正大学へ進学。東都2部だったチームを1部に引き上げる活躍をし、1994年西武ライオンズにドラフト3位指名で入団。
1年目から勝ち星を上げましたが、2年目から本領を発揮し、7年連続で二桁勝利などエースとして活躍。ライオンズ一筋で18年連続勝ち星をあげ、5度のリーグ優勝、2度の日本一に貢献します。
そしてMVP1回、沢村賞1回、最多勝2回、最多奪三振2回、ゴールデングラブ賞3回という素晴らしい記録を残しました。
しかし西口氏といえば、2度の9回2アウトからのノーヒットノーラン逃しと、9回まで完全試合も延長となり、それを逃したという記録で有名です。
初めは2002年8月26日の千葉ロッテマリーンズ戦。次は2005年5月13日の読売ジャイアンツ戦。
共にあとひとりというところでノーヒットノーランを逃します。
一番惜しかったのは2005年8月27日の東北楽天イーグルス戦で、なんと9回まで完全試合でしたが、チームも打てず延長に。10回も続投しますがついにヒットを打たれてしまい、大記録を逃します。
完全試合は長いプロ野球の歴史でわずかに15回のみ。1994年ジャイアンツの槙原寛己以来出ていませんでした。
完全試合とノーヒットノーランの歴代達成者は?両者の意味や違いもチェック!【プロ野球】
2015年シーズン終了後に引退。その後はライオンズのフロント、台湾プロ野球のコーチ、そしてライオンズの投手コーチに就任しています。
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「嫌いではあったけど、最低限はやってたよ。ノルマ以上に陰でやっていたかもしれないよ、昔から誰も信じないけど」
これは練習嫌いという評判について聞かれた時の答えです。
「かもしれない」と仮定形にしているところは、西口氏の照れなのでしょう。
かつては試合が終わると夜の街へ直行するような選手もいたと聞きますが、そんな人たちでも実は部屋に帰ると素振りをしていたというエピソードが聞かれることがあります。
努力を他人に見せたくないという人は、どんな世界にでもいます。
練習嫌いというのは、他の人間にどう見えているかということであって、その人自身の真実ではありません。
西口氏は周囲の目など気にせず、自分に必要な練習を、自分のタイミングで、自分に必要な分だけ、しっかりとやっていたのでしょう。
それは自分を知り、戦うべき相手を理解していたからこそできることであって、単なる独りよがりでないことは、その結果が証明しています。
「ノーヒットノーラン未遂2回、完全試合未遂1回、そして今日は、フォアボール」
これは西口氏の引退試合の後に、セレモニーでもらした言葉です。
2015年9月28日、西口氏は最後のマウンドに上がり、千葉ロッテマリーンズの井口資仁選手と対決しましたが、結果は四球となり、それを自虐的に語ったのです。
大記録を目前で三度も逃した西口氏ですが、本当に悔しかったのはそれらの試合ではないと言っています。理由は「三試合とも勝てていますから」。むしろ1996年に延長11回177球投げてサヨナラホームランで負けた試合が悔しいとのこと。
つまり西口氏は勝利にこだわる投手でした。それはチームの勝利でもあるわけで、エースの役目でもあります。
いつの間にか200勝、2000本安打が名選手の基準のようになってしまっていますが、野球はチームスポーツであり、5度のリーグ優勝に導いた西口氏は200勝に満たなくとも、素晴らしいエースでした。
「あの時、運を使わなくて良かったと思える日が来るかもしれない」
これは完全試合未遂を振り返って語られた言葉です。
2005年は東北楽天イーグルスが誕生した年で、設立の経緯から必ずしも戦力が整っていたとは言い難い状況ではありましたが、両リーグ本塁打王となる山崎武司や、磯部公一、関川浩一、飯田哲也など一癖ある好打者がいました。
しかし西口氏の好投に打者陣は答えられず、完全試合のまま延長へ。10回、ついに安打を打たれて、大記録は消えました。
試合後、西口氏は打線を責めることはありませんでした。この年、5月のジャイアンツ戦でノーヒットノーラン未遂の時に、最後は本塁打で点を取られたことを引き合いに出し、今回は完封したからと、自分自身の話に終始しました。
そして完全試合で「運を使わなくて良かったと思える日が来るかもしれない」と割り切ってしまったのです。
本当の西口氏の気持ちはわかりません。投手である以上、悔しくない筈はないからです。
けれども、それ以上にプロ野球チームのエースとしての自負があった、そんな投手であったと思います。
名言からの学び
・目に見えない部分はなかなか評価されないが、そういった目に見えない努力がその人を作り上げる。
・勝ちにこだわることでわかることや、見えることもある。惜しい負けよりも、苦い勝ちが教えてくれることもある。
・結果に自負心を持つことが、単に安易なのではなく、本当の意味でポジティブな考え方に至る。
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