松川虎生の凄さが分かる名言・語録集!天才キャッチャーの伝説エピソードから努力論まで
2000年から2022年までのドラフトで、1位指名を受けた高校生捕手はわずかに8名しかおらず、1年目から1軍で20試合以上に出場したのは炭谷銀仁朗と森友哉の二人だけです。しかし2022年、チームがまだ40試合ほどしか消化していない時点で、出場20試合を越え、しかも歴史に残る大記録を支えたのが松川虎生です。
大記録とは佐々木朗希による完全試合達成です。およそ100年ほどの歴史がある日本プロ野球の中で、記録されたのは16回。特に打撃技術や体力の向上もあり、1980年代以降の50年間ではわずかに2回しか達成されていません。
そんな大記録を捕手としてリードしたのが、高卒ルーキーの松川です。ヒットに繋がる配球ミスはもちろん、振り逃げにつながるパスボールも許されない中で、冷静にサインを出し、ワンバウンドするような低めのフォークボールも厭わない姿は、多くのファンを唸らせました。
今回は高卒ルーキーにして、完全試合の相棒となった松川虎生の凄さが分かる名言や語録を紐解き、天才キャッチャーの伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
松川虎生について
まずは松川虎生の経歴を追ってみます。
2003年10月20日生まれ、大阪府阪南市出身。小学1年生から野球をはじめ、中学時代はクラブチームに所属し、エースの小園健太と共にヤングリーグ日本選手権で優勝。高校はその小園と共に市立和歌山高校に進学します。当初は3塁手にコンバートされましたが、その後は捕手に戻り、3年生の時には春の選手権大会で甲子園に出場します。
同じ和歌山県には甲子園優勝も果たす強豪の智辯和歌山高校などもあり、甲子園出場は1回ですが強打で守備力も高い捕手として注目され、2021年のドラフトでは千葉ロッテマリーンズの1位指名を受けて入団します。バッテリーを組んだ小園も横浜DeNAベイスターズの1位指名受け、同一高校から初となるバッテリーの1位指名となりました。
2022年、プロ野球史上3人目となる高卒ルーキーでの開幕戦スタメンマスクをかぶり、見事チームに白星をもたらします。そして開幕戦と同じ佐々木朗希とバッテリーを組み、4月10日にオリックスバファローズを相手に完全試合達成をサポート。完全試合の捕手としては最年少であり、プロ通算7試合目という新人によるのも初めてのことです。
佐々木と共に月間最優秀バッテリー賞にも選ばれ、令和時代を代表する新星として注目を浴びています。
私が選ぶ、松川虎生の凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「負けたら僕が悪い」
ドラフト史上初めてとなる同一高校からバッテリーの1位指名。その捕手が松川であり、投手は小園です。2人は中学からバッテリーを組み、「一緒に市立和歌山に行こう」と誘ったのは松川だったそうです。
「僕が構えたところに来るので、配球がやりやすいし、めちゃくちゃ楽しい。このピッチャーと一緒に甲子園で日本一を達成したいと思いました」
そんなふうに小園のすごさを感じていた松川は「負けたら僕が悪い」と思っていたそうです。小園という優れた投手と、中学からバッテリーを組めたことは、松川にとって大きな財産になっただろうと思われます。
同時にそれは小園にとっても同じで市立和歌山高校の監督である半田真一は「小園がこういうピッチャーになったのは、松川がおったから」と語っています。そして松川について「今までに見たことのない、いいキャッチャー。所作であったり、性格であったり、言葉では言い表せない何とも言えない雰囲気がある。投手のいいところをしっかり見られる眼力と人間力というのは、3年間見ていて非常に関心させられました」と絶賛しています。
若き才能あふれた投手と捕手が、互いに切磋琢磨し、努力する環境が、結果として2人のドラフト1位を育てたのでしょう。
【名言語録その2】
「食事をしていた時はさすがにそんなことが起こるとは思ってもいなかった」
「そんなこと」とは2022年4月10日、実に28年ぶりに達成された佐々木朗希による完全試合です。佐々木とバッテリーを組んだのがルーキー松川であり、2人合わせて38歳。その若さに驚かされます。
この2人が初めてバッテリーを組んだのは、侍ジャパンの監督に就任した栗山英樹がマリーンズのキャンプを訪れた2月7日でした。おそらく井口資仁監督には佐々木だけでなく、松川も見て欲しいという思惑があったのでしょう。
当初は先輩である佐々木がリードしていたそうですが、ロッカールームが隣同士である2人は、入念に意見を交し、なぜ打たれたのか、どうするべきだったのかなどを徹底的に話し合うようになりました。またイニングの初球についても必ず2人で話し合って決めているそうです。
佐々木は松川について「松川はすごいと思います」と語っています。「キャッチングもうまいけど、ブロッキングもうまい。これぞキャッチャーという感じ。体型も構えもすごく投げやすい。なんか吸い込まれる感じがする」そんな信頼があってこそ完全試合が達成されたのでしょう。
完全試合の最後の打者は前年の本塁打王、杉本裕太郎でした。結果はフォークボールを3球続けの三振。松川はその配球について「ストレートが内に入ってホームランになるリスクを考えてのフォーク。朗希さんはフォークでもカウントがとれる。最後は三振狙いでした」と話しています。一方の佐々木はこのリードに対して「洒落たことをするなと思いました」と答えています。
フォアボールも許されない状況で、それを投げ切り、平然と受ける。プロとして当たり前のこととはいえ、その度胸の裏には、しっかりと築き上げた信頼があったのです。
【名言語録その3】
「バックスクリーンまで」
「ホームランバッターになりたい。ホームラン王になりたい」という松川。中学から高校までバッテリーを組んだ小園と、プロでの対戦について聞かれると「1球目、まっすぐがくると思うので、一番強いまっすぐを、打ち負けしないように、いいポイントで打てるよう、タイミングが遅れないように振っていきたいなと思います」と答えました。更にどこまで飛ばすかと聞かれると、即座に「バックスクリーンまで」との言葉が返ってきました。
またプロ入りが決まり、松川はインタビューの中で抱負について述べています。
「相手の気持ちを考えて、色々な人のことを考えながらプレーをしたいと思っています。野球は自分一人で行うものではない。ベンチやスタンドから応援してくれる人や支えてくれる人がいて、一緒にプレーする仲間がいて成り立っています。みんなのことを想って野球をしたいと思っています」
とても高校を卒業してすぐとは思えない答えです。更に「日々、ユニフォームを着ていると、野球が仕事なんだなって実感が湧きます」と話すところなどは、夢を叶えた喜びと共に、プロフェッショナルとしての自覚を感じさせます。
「虎生」という名前は、阪神タイガースファンの祖父がつけてくれたものだそうですが、甲子園から羽ばたき、千葉のみならず、全国にその名を響かせ、更に素晴らしい選手へと成長してくれると思います。
名言からの学び
・才能はぶつけ合って磨かれる
・コミュニケーションが信頼を生む
・自覚がより大きな成長につながる
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