入来祐作の凄さが分かる名言・語録集!用具係でも腐らない鋼のメンタルを持つ男の人生哲学とは?
兄弟でプロ野球選手として活躍したといえば、古くは400勝投手の金田正一と128勝をあげた留広、甲子園のスター定岡正二と兄の智秋、弟の徹久の三兄弟、西武黄金期を支えた松沼博久と雅之、ナゴヤ球場に仁村兄と仁村弟と掲示された仁村徹と薫など、数々いますが、入来祐作と智の兄弟も共に二桁勝利をあげるなど活躍しました。
兄の入来祐作はメジャーリーグにも挑戦し、引退後も野球の現場から離れたくない思いから、打撃投手や用具係などの裏方として地道に選手を支え、その献身ぶりから、ついにはコーチに抜擢されました。
現役の頃は最高年俸が推定9000万円というところまで上り詰めた入来。ところがそのプライドを捨てて、用具係まで務める姿はテレビのドキュメンタリー番組にもなり、人気CMでも取り上げられました。
今回は用具係でも腐らない入来祐作の名言や語録を紐解き、その鋼のメンタルと人生哲学に迫ります。
入来祐作について
まずは入来祐作の経歴を追ってみます。
1972年8月13日生まれ、宮崎県都城市出身。大阪の名門PL学園高校に入学しエースとなるものの甲子園出場はならず、亜細亜大学に進学。1年からエースとして活躍しますが、4年次に血行障害となりドラフトにはかからず、本田技研に入社。
都市対抗野球で活躍し、社会人最高の栄誉である橋戸賞を獲得。1996年にドラフト逆指名で読売ジャイアンツに入団します。
初年度は中継ぎとして57試合に登板。2年目の夏に先発に転向。1999年には弟の智がジャイアンツに移籍してきたため、兄弟での活躍が期待されましたが、祐作は度重なるケガに悩まされます。
しかし2001年には13勝を上げてキャリアハイの記録を残します。2002年には再び故障し、2013年オフには北海道日本ハムファイターズにトレード。2005年オフにポスティングでメジャーリーグに挑戦しますが、メジャーでの登板はないまま2007年オフに解雇。
入団テストを受けて横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)に入団しますが、2008年限りで引退。現役通算10年間で35勝、3セーブ、防御率3.77。
自由契約になったその場で、ベイスターズでやれる仕事があればと直談判し、打撃投手として採用され、その後は用具係として裏方に回りますが、2015年に福岡ソフトバンクホークスの三軍コーチに就任。2019年オフまでコーチとして若手の指導にあたりました。
私が選ぶ、入来祐作の凄さがわかる名言・語録
【名言・語録その1】
「私に何か球団でできる仕事はありませんか。野球界から離れたくないんです」
入来はベイスターズから自由契約を言い渡されたその場で、そう言って球団関係者に頭を下げたのだそうです。ジャイアンツでは13勝をあげて推定9000万円の年俸を得ていた年もあります。人気球団にいたため知名度もありました。
一方で当時はなかなか球団の理解を得られにくかったポスティングシステムによるメジャー移籍を、何度も訴えたり、球団が認めていなかった代理人交渉制度を申し入れたり、おそらく球団としては面倒くさい選手だったろうと思います。ファイターズへのトレードはその結果だったといえるでしょう。
現在も選手の権利であるFA移籍はともかく、ポスティングを認めない球団もあります。選手ファーストで希望を認める方向性が望ましいとは思いますが、球団側の主張も間違っているとは言えません。入来のケースもやむを得ない面はあるでしょう。
いずれにせよ、どの球団にも入来は扱いづらいというイメージがあったに違いありません。しかしメジャーで結果が出せず、ベイスターズに拾われたことと、どうしても野球が好きだという気持ちが、何か変化を生んだのかもしれません。
「僕、本当に野球が好きなんですよ。球場から離れたら気が狂いそう」
裏方としての面倒を厭わず、陰で選手を支える入来の姿には、野球バカの匂いが感じられました。
【名言・語録その2】
「野球選手として先輩と思われると、頼みにくくなるので、ふだんから頼みやすい雰囲気を作るように接しています」
用具係はいわゆる選手の雑用係です。ユニフォームのクリーニングの手配から、用具の手入れや修理、グラウンドの準備や後かた付けなど、本当に雑多な業務を担っています。中にはまだ1軍で結果を残していないような若手に、遠慮のない言葉をかけられるようなこともあったそうです。
華やかな1軍で活躍した経験のある入来ですが、それでも偉そうに先輩ぶらず、相手と接するようにしていたそうです。
「用具の仕事をしていると、選手の性格がよくわかりますね。三浦大輔投手は、ロッカーがとてもきれい。食事も栄養バランスを考えてとっているし、忘れ物もまったくない。逆にこっちが忘れないようにと、気が引き締まります」
そんな用具係として、じっくりと選手を見つめていた経験は、間違いなくコーチとして選手の性格を見抜く助けになったと思います。
【名言・語録その3】
「選手はひとりひとり違うのだから、なぜ出来ないは禁句」
いつかはコーチになりたいという願いを抱いていたという入来ですが、用具係の忙しさの中で実際には諦めていたそうです。ところがホークスの工藤公康監督から声がかかり、「気持ちの強い、チームを勢いづけられる選手を育て、みんなの役に立ちたい」と三軍コーチに就任しました。
選手には上から目線の「ティーチング」ではなく、同じ目線の「コーチング」をするという意識で、若手の能力を引き出すというのが入来流です。
「選手が気持ちよくプレーすることが第一なので、僕が怒ったら気分悪いじゃないですか。ヤンチャな子ばっかりなんで、その子がイライラして、変なプレーされても嫌ですし」
入来の目線は常に選手ファーストです。
そこには野球が好きでたまらない男が、野球を楽しませたい、野球で成功させてあげたい、といった野球が叶えてくれるであろう夢を、後押ししようとする心が感じられるように思います。
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名言からの学び
・本当の好きは表舞台でも裏方でも関係ない。
・裏で支える者の目も、コーチングとして役に立つ。
・成功は自分だけでなく、多くで分かち合うものである。
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