渡辺直人の凄さが分かる名言・語録集!松坂世代最後の現役野手の伝説エピソードから努力論まで
合計94人ものプロ野球選出を輩出した、いわゆる「松坂世代」。その中で2021年シーズンを迎えるのは松坂大輔本人と和田毅の二人だけになってしまいました。残念ながら野手はすべて引退となりましたが、2020年まで現役を続けた松坂世代最後の野手が渡辺直人です。
その人柄から多くの選手やファンに愛され、東北楽天ゴールデンイーグルスからトレードされた際にはチームメイトが涙を流し、それ以後も仙台での試合に出場すると、ファンから誰よりも大きな拍手と声援を受け、監督だった星野仙一が敵チームの選手へのエールの方が大きいと、ぼやくほどでした。
埼玉西武ライオンズでも信頼され、浅村栄斗がFAでイーグルスに移籍した背景のひとつに、渡辺がいたこともあったようですし、若手選手の手本として2021年からはコーチとして活躍の場を得ています。
今回は松坂世代最後の現役野手となった渡辺直人の凄さが分かる名言や語録を紐解き、愛される男の伝説エピソードから努力論にまで迫ります。
渡辺直人について
まずは渡辺直人の経歴を追ってみます。
1980年10月15日生まれ、茨城県牛久市出身。牛久高校を卒業後、城西大学を経て、三菱ふそう川崎に入社。都市対抗野球大会で2度の優勝に貢献し、社会人ベストナインにも選出され、インターコンチネンタルカップの日本代表にも選ばれます。2006年の大学生社会人ドラフト5位で東北楽天ゴールデンイーグルスに指名され入団します。
創設2年目のイーグルスにおいて、26歳のオールドルーキーは即戦力と期待され、1年目から遊撃手のレギュラーとなり、この年のルーキーで唯一規定打席に達し、25盗塁を記録しました。翌2008年にはリーグ2位の34盗塁、2009年は26盗塁と3年連続でチームトップの盗塁をマークします。
2010年オフに横浜DeNAベイスターズにトレードとなり、それを知った嶋基宏や鉄平、草野大輔らチームメイトが契約更改の席で涙を流すというシーンが見られました。ベイスターズでは主にセカンドを守りましたが、怪我やポジション争いもあり、出場機会を減らし、2013年のシーズン中に埼玉西武ライオンズにトレード移籍します。
ライオンズではバイプレーヤーとして故障した選手の穴を埋め、代打や守備固めとしてもベテランらしい活躍を見せますが、2017年オフに戦力外通告を受け、2018年にイーグルスへ復帰。2020年は兼任コーチとなり、シーズン終了後に引退。
プロ通算14年間で855安打、7本塁打、115盗塁、打率.259。
2021年からはイーグルスのコーチに就任しました。
私が選ぶ、渡辺直人の凄さがわかる名言・語録集
【名言語録その1】
「僕が100人にサインをして、99人がオークションに出すかもしれない。でも、本当に僕のサインが欲しいファンだって必ずいます。その人のために書き続けます」
プロ野球選手たちのサインがネットオークションに出品されるのが問題になったことがあります。その頃、イーグルスはサインを自粛するように促しましたが、渡辺は上記のような信念のもと、ファンへのサインを続けました。
「僕らはナイターが終わっても練習とかして帰るから、球場を出る時間が遅いじゃないですか。それでも待ってくれいてるファンがいるわけですよ。だから僕にサインを求めてくれるならやっぱり書くべきだし、そういう気持ちは昔から変わっていませんよね」
その優しさはファンにも伝わり、ベイスターズにトレードされた渡辺が交流戦で仙台にやってくると、イーグルスの選手以上に大きな拍手と声援で迎えられ、試合後に星野仙一監督が仙台のファンに苦言を呈するほどでした。しかしそれはその後も変わらず、渡辺がライオンズに移籍しても、常に大歓声が送られ続けました。
ファンは正直です。同じ仙台でやはり星野監督時代に、北海道日本ハムファイターズの中田翔が1試合3本の本塁打を放った最終打席に大歓声が沸き起こり、中田を讃えました。
ファンは良い選手や良いプレーに素直に反応します。渡辺の存在はそんな当たり前を思い出させてくれます。
【名言語録その2】
「岐路に立っている?そういう年齢になったということでしょう。当たり前といえば当たり前の現実です」
いわゆる松坂世代のひとりである渡辺。しかし高校でも大学でも注目されず、社会人になって芽が出たオールドルーキーである渡辺は、あまり世代を意識していないようです。
「『松坂世代』という呼び方を聞くと、ああ自分もそうなんだなとは思いますけど、特に同い年の選手の動向を気にしてニュースを見るとか、そういう特別な意識はないですね」
しかし渡辺よりも期待され、実績を残した選手たちが先に引退し、彼が野手として最後まで残ったのは、チームを変わるごとに守れるポジションを増やしたバイプレーヤーぶりと、チームメイトたちに信頼される人柄のおかげでしょう。
「どんな起用法でも、すべて受け入れられる準備だけはいつもしておきたい」
そういう選手がいてくれるのは、1年間常に万全であるとはいえないプロ野球チームにおいて、とてもありがたいことでしょう。
「常に全力。野球を楽しむこともそうだし、それ以外でも自分にできることを一生懸命やるって気持ちがあったからこそ成長させてもらえましたからね。そういうのって歳をとったら忘れがちになるけど、自分はそこを妥協せずにやれたんじゃないかなって思いています」
渡辺のそんな思いが、結果的に松坂世代最後の野手として生き残らせたのではないでしょうか。
【名言語録その3】
「変な思いを抱くより、それを楽しみたい。出会った人とか、すべてを自分の財産にしたいんです」
日本のプロ野球界では、まだトレードに対してあまり良くないイメージがあるようです。イーグルスからトレードされた時、涙を流した渡辺ですが「トレードに負のイメージはまったくない」と語っています。
「やっぱり、その時にいるチームに愛着を持ってプレーしないとダメじゃないですか。そこで自分の色を出して、チームのみんなに理解してもらわないと受け入れてもらえないと思うし。ベイスターズとライオンズではそういう気持ちでやっていましたね」
「行ったところでチームの力になるために頑張ろうと思っています。頑張れる環境を与えていただいた。幸せ者だと思いますよ。自分を育ててくれた楽天には感謝しているし、横浜は今まで知らなかったプロ野球の世界を見せてくれた。二塁や代打、控えや二軍を経験させてくれたのもベイスターズですから。そして西武はそんな二軍選手をとってくれた。すべてに感謝しているんです」
ひとつのチームにこだわり続けるのもひとつの道です。けれど渡辺のように求められたチームで全力を尽くす努力もプロらしい選択なのではないでしょうか。
名言からの学び
・当たり前を全うするのがプロである。
・全力を尽くすことが未来を生み出す。
・求められたものに感謝する。
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