野村克也監督の名言・格言全集!苦労人の努力やリーダー論など人生哲学に迫る
2019/10/26
1954年、南海ホークスにテスト生として入団し、プロ3年目に正捕手の座を獲得。相手投手の特徴をつぶさに観察する眼力を生かして自らの打撃力を向上させると共に“扇の要”としてのレベルも飛躍的に向上させていった野村克也氏。65年の三冠王をハイライトとして数々の勲章を手にし、パ・リーグのトッププレーヤーとして長年に渡り活躍を続けました。
監督としては南海、ヤクルト、阪神、東北楽天でチームを率い、日本一も複数回経験。データを駆使して采配を振るうスタイルは『ID野球』と称され、一世を風靡しました。今回は、そんな野村氏が世に送り出した数々の名言の中から3つを取り上げ、名選手であり名監督の同氏のリーダー論や人生哲学にアプローチしてみたいと思います。
【特選】私が選ぶ野村克也監督の三大名言
「一流になるためには、避けて通れない道がある。
それは努力という名の道。努力なしに一流にはなりえない」
ルーキーイヤーに、いきなりプロの壁にぶち当たった野村氏。一時は戦力外通告を受けますが、当時の捕手難という事情に助けられ、なんとかチームに残留します。
そんな境遇から這い上がり、超一流選手の域までに上り詰めたのは、不断の努力があったからこそ。悔しさをバネに、試行錯誤しながら解決策を見出す努力に要したエネルギーは並大抵のものではなかったと思いますが、まさに努力こそが野村氏の野球の礎になっていたわけです。
前述の、相手投手の研究に関しては、苦手な投手の映像を繰り返し観ることで攻略法を掴んだそうですし、闇雲に練習やトレーニングを反復するのではなく、頭脳をフル回転させる努力が奏功。それが後の『ID野球』の原点になったのも間違いありません。
「野球選手である前に、社会人として
しっかりとした自分を作れ」
この言葉もまた、野村氏の名言の中で特筆すべきフレーズでしょう。現役としてプロ野球の世界に身を置ける期間は、よほど突出した才能の持ち主でない限り、それほど長くはありませんし、第一線から退いて指導者として同じ世界に留まりたいと思っても、実際はとてつもなく狭き門。一般社会に出てからも通用するように、まずは社会人として自分を確立されることは、必要不可欠なことと思われます。
幼少の頃から野球一筋で生きてきた人間にとって、一般常識を身につけて社会人として相応しい言動が極自然に出来るようになることは、非常に大切。それを現役時代に身につけておくことがいかに大事かを野村氏は教えてくれています。大多数のプレーヤーにとっては、野球界から身を引いた後の人生の方が明らかに長いわけですからね。
「私は、監督は“気づかせ役”だと考えてきた」
ともすれば、押しつけ型の指導法に偏ることもあるスポーツの世界。そうではなく、実際にプレーする選手自身が、何が必要なのか、何をすべきなのかを“気づかせる”ことが監督やコーチにとっては優先すべき事項…と野村氏は述べています。
そのためには、千差万別の選手の長所や短所を的確に見分ける能力が指導者には必要になりますし、“気づかせる”ための適切な声掛け(アドバイス)が必須。
例えば「こうしなさい」ではなく、「こういう方法もあるよ」といったニュアンスで選手に話し掛け、“気づかせて”きたことは、中日ドラゴンズの元監督・落合博満氏も幾度となく公言してきました。誰もが認める名監督…真のリーダーの資質として共通することなのでしょうね。
理路整然として、ともすれば取っつきにくいイメージもある両氏ですが、この共通項からは、温かい人間性も感じられます。
【野村克也監督】その他の気になる名言・格言の全て!
ここでは、その他の名言のうち、私が知りうる限りの名言の中から気になるものを全てご紹介いたします。解説はありませんが、きっとあなたの心に響く名言が見つかることでしょう!
一瞬のやる気なら誰でも持てる。けれども、持続性のあるやる気は、深く認識したものだけに宿るのである
若いときに流さなかった汗は、年をとったときの涙となる
不器用な人間は苦労するけど、徹してやれば器用な人間より不器用な方が、最後は勝つよ。
失敗の根拠さえ、はっきりしていればいい。それは次につながるから。
ナポレオンは「人間を動かす二つのテコがある。それは恐怖と利益である」と言った。私はこの二つに「尊敬」を加えたい。リーダーは「利益と尊敬と、少しの恐怖」で組織を動かしていくべきで、その潤滑油が「笑い(ユーモア)」だ。
監督のミーティングっていうのは、やっぱり野球選手も一社会人だから、人間学、社会学っていうのを基本に教えなきゃいけない
結果オーライの野球は私は一番嫌いなんですよ
バッティングは「備え」で結果は8割決まるものだよ
「失敗」と書いて「成長」と読む
人間は、恥ずかしさという思いに比例して進歩するものだ
野球は技術力には限界がある。その先は頭で考えるしかない。そこから先がプロの世界なんだよ
監督の仕事で大事なのは人間教育、社会教育
水は方円の器に随(したが)う。意味: 四角い器に水を入れれば水も四角い形になり丸い器に水を入れれば水も円形になる。転じて、人も環境や付き合う人物いかんで良くも悪くもなるということ
誰にも負けないくらいの素振りをした
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし
失敗した選手でも、こいつは我慢したら働く、伸びてくると思えば辛抱します。三振して帰ってくる選手の顔をじっと見てみると、悔しい顔をして帰ってくる若い子は見込みがあります。あっけらかんとしているのはダメですね。なぜダメだったのかを考えられる人間には、次のチャンスを与えたいと思います。
一流になる人と、一流近くまでいきながら二流で終わる人の差はどこにあるのか。私は、「俺は俺」という強烈な自我の有無だと思う。
「恥ずかしい」と感じることから進歩は始まる。
「どうするか」を考えない人に、「どうなるか」は見えない。
優勝というのは強いか、弱いかで決まるんじゃない。優勝するにふさわしいかどうかで決まる。
組織はリーダーの力量以上には伸びない。
「叱る」と「褒める」というのは同意語だ。情熱や愛情が無いと、叱っても、ただ怒られているというとらえ方をする。
コーチの第一義は、自信を無くしている、目標を失っている選手に、いかに意欲を出させるかということ。
好かれなくても良いから、信頼はされなければならない。嫌われることを恐れている人に、真のリーダーシップは取れない。
うまくいっているときは、周りに人がたくさん集まる。だが、一番大切なのは、どん底のとき、誰がそばにいてくれたかや。
部下を「信じる」というのは、リーダーの重要な資質。
自分の持っているイメージと違うとすぐ矯正しようとする。こんな上司のもとにいる部下は不幸。
コンピューターがどんなに発達しようとしても、仕事の中心は人間だ。ならばそこには「縁」と「情」が生じる。それに気づき、大事にした者がレースの最終覇者となるのだと思う。
全盛期を過ぎ、落差に耐えつつ、必死にやる、なんてことを惨めと感じる人はいるでしょう。ところが、僕はそうは思わないんですよ。なりふり構わず、自分の可能性を最後の最後まで追求する。そのほうが美しいという、これは僕の美意識です。
未熟な組織には、原点がある。教えられることが多い。
敵に勝つより、もっと大事なことは、常に自分をレベルアップすること。
重荷があるからこそ、人は努力するのである。重荷があるからこそ、大地にしっかりと足をつけて歩いていける。
投手は「打てるもんなら打ってみろ、絶対抑えてやる」というプラス思考がいい。捕手は危機管理のマイナス思考。プラスとマイナスだからバッテリーと言われるのだ。
楽を求めたら、苦しみしか待っていない。
勝っているときが一番怖い。リードしているときが一番怖い。
人間の才能なんて、どこに隠されているか分からない。相手の話を聴いてみる。それが第一歩。そこから組織の活性化が始まる。
命令するからには、全責任は監督にある。つまり、クビになるのはおまえでなくワシや。だから、失敗してもいっこうにかまわない。おまえの失敗はおまえを使ったオレが悪いのだから、全てを出しきり、結果は神にゆだねろ。
有事に強い者、それは不真面目な劣等生。
35歳を超えて敵がいないということは、人間的に見込みがないことである
1年目には種をまき、2年目には水をやり、3年目には花を咲かせましょう。
限界が見えてからが勝負だ。
「もうダメ」ではなく、「まだダメ」なのだ。
ID野球の極意は、重い予備知識と軽い先入観。
貴い知識・本質はいつの世でも、本来、単純明快である。
ちっぽけなプライドこそ、その選手の成長を妨げる。
自己を過大評価した瞬間から、思考の硬直が始まる。
どうやったらライバルとの競争に勝てるか考えたとき、1日24時間の使い方の問題だ、と思った。
大きな舞台になればなるほど、勝負は技術だけにとどまらない。人間そのものの対決になる。
リーダーシップとは人を動かす、先を読むこと。人を動かすのは生きがい、夢、希望、目標、目的、ビジョン、興味、関心。
人を判断するときは決して結論を急がないこと。
名言からの学び
・夢や目標を叶えるための手段として、努力を重ねることは大前提。その努力は頭脳を駆使して、試行錯誤しながら積み重ねることが理想。これはスポーツ界だけでなく、ビジネスや日常生活においても心掛けておきたいこと。
・特定のジャンルで成功し、名を馳せることは人生において大変名誉なことだが、その前に社会人として恥ずかしくない人間であるべき。
・指導者として必要なことは、相対する選手に“気づかせる”こと。会社でリーダー的な立場にある人でも、部下に対して頭ごなしに命令や指示をするのではなく、何をすべきか、どうすればいいかを適切な声掛けで“気づかせて”あげることが大切。
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